まだ勘違いする韓国人

真田:トルコを見てようやく危機感を持つとは、韓国人の勘違いも甚だしい。米国にとってトルコは極めて重要な国です。中東での軍事力展開にトルコは欠かせない。

 トルコも米国との関係を決定的に悪くするハラはない。ただし、中東の雄として格好を付ける必要がある。イランやサウジアラビアなどのライバルから「米国に弱腰」とバカにされないためにも、トランプにファイティングポーズをとらねばなりません。

 いずれ米国とトルコは「おとしどころ」を見つけるでしょう。市場もそう見ていますから、リラの暴落も限定的であり、それにはどこかで歯止めがかかると思われます。

 さて韓国。トルコと比べ、韓国は米国にとって軍事戦略上、重要な国ではない。はっきり言えば「なくてもいい国」です。そんな国との関係に米国は強い神経を払いません。

 そうした視点から、いったんウォンが売られ始めれば、歯止めがかからない可能性があります。韓国人はまだ、自分たちの立場を勘違いしています。

同盟を失う国からカネは逃げる

韓国人はいつまで勘違いするのでしょうか。

鈴置:ようやく、一部の人々が「見捨てられ」に気が付いたところです(「『米韓同盟消滅』に焦る韓国の保守」参照)。

 トランプ政権が北朝鮮の非核化と引き換えに、米韓同盟廃棄を提示するなど「見捨てられ」が可視化したからです。

 米韓同盟がなくなるとの認識が広がれば、韓国のマーケットは一気に不安定になるでしょう。米国との同盟を失う国におカネを置いておく人はいません。

 経済面でも韓国は他の新興国にはない、通貨危機の要因を抱えています。少子高齢化により、生産年齢人口の比率が2018年頃にピークアウトしました。これから経済のバブル部分が一気にはげるでしょう。

 ドル金利があがってもウォン金利を追従させにくい構造でもあります。家計の借金が積み上がっているため、下手に利上げすれば景気の足を引っ張るうえ、不良債権を増やすからです。

 これはもちろん金融システム不安を呼びます。それを恐れてウォンの利上げに二の足を踏めば米韓の金利差から、資金逃避が起きかねません。

 頼みの綱の外貨準備も4000億ドルと韓国銀行は号していますが、ウォン売りに対抗し投入できる「真水部分」はその30%程度と市場は見なしています。外準のかなりの部分が、利回りはよいもののすぐには売れない怪しい債権に化けていると推測されるからです。

日本とスワップを結ぼう

文在寅政権は「米国が通貨を使って脅してくる」と分かっているのでしょうか。

鈴置:大統領自身は分かっていると思います。経済は全くの素人です。が、盟友の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権がスタートする直前に米国が韓国の格付けを落とすことで恫喝してきたと回顧録『文在寅の運命』に記しています(「『14年前のムーディーズ』に再び怯える文在寅」参照)。

 露骨に北の核武装を幇助すれば、米国に通貨危機を起こされると大統領自身は警戒しているでしょう。親北派が中核を占めるこの政権に対する唯一の歯止めが、通貨危機への恐怖だと思います。

では、韓国はどうするのですか?

鈴置:日本と通貨スワップを結ぶ手があります。すでに韓国の財界はスワップ締結を求めています。韓国政府も「2トラック」と称し暗に要求し始めました。

 歴史問題では日本攻撃の手を緩めないが、それ以外では協力しよう――スワップは結べ、という虫のいい要求ですが。