米中が運命を決める

鈴置:中国も米国も「韓国が絶対に欲しい」わけではない。韓国人や朝鮮人に面倒を起こしてほしくないだけです。緊急の課題は5回目の核実験を実施し、核兵器の実戦配備に動く北朝鮮です。

 米中は韓国を外し、何らかの妥協を探ると思います。北の核実験停止と米韓合同軍事演習の中断、あるいは米朝平和協定の締結を交換する構想が、米中の間ですでに話し合われている模様です(「韓国を無視して『パンドラの箱』を開ける米国」参照)。

 米朝平和協定は北朝鮮がかねてから望んでいたものです。在韓米軍撤収や米韓同盟破棄のテコにするつもりです。韓国は当然反対するでしょうが、無視される可能性が高い。

 「米中双方からのラブコールを利用し両大国を手玉に取る韓国」どころか、下手すると「国の運命を米中によって勝手に決められる韓国」になってしまいます。

真田:韓国の当局者もそれはよく分かっていると思います。この閉塞状況を打開するため、ロシアを新たな外交カードにしようと韓国は考え始めました。

燃え上がる「ロシア愛」

鈴置:韓国紙ではロシアへの期待が盛り上がっています。典型的な記事が、中央日報の李夏慶(イ・ハギョン)論説主幹が書いた「プーチンのラブコール」(8月10日、韓国語版)です。要点は以下です。

  • ロシアが手をつなぎたいのは韓国だ。巨大な人口を持つ中国はロシアにとって警戒の対象だ。日本はロシアとの間に領土問題がある。
  • 軍事的な脅威がなく、高度の技術を持つ製造業大国の韓国だけがロシアの経済的パートナーとなる。
  • 中国が飛躍的な経済成長を遂げた決定的な要因が、韓国との協力にあったこともロシアは知っている。
  • 韓国もロシアとの関係を深めることで、中国一辺倒の経済構造から脱することができる。

 韓国人の異様に高い自己評価にも驚きますが、その「ロシア愛」もかなりのものです。李夏慶・論説主幹は、20日後の8月30日にも「『島国脱出』の方程式は沿海州にある」(韓国語版)を載せました。

 この記事の書き出しは「20世紀初頭に大韓帝国の救助要請を無視した帝政ロシアの冷笑が、韓国への切実な求愛に変わった」でした。「ロシアこそが孤立からの脱出口」と韓国人が思いつめていることがよく分かります。