北は戦争を準備している

 保守論壇の重鎮、朝鮮日報の金大中(キム・デジュン)顧問は8月30日に「我々はいつまで『防衛』にだけすがるのか」(韓国語版)というコラムで「我々は攻撃に転じる時だ。THAADを持ってもこの安保上の難局を突破できないのなら、核に行くしかないことを国内外に示さねばならない」と核武装宣言を呼び掛けた。

 在野の保守運動指導者、趙甲済(チョ・カプチェ)氏も9月7日、北朝鮮の核施設への「予防攻撃」を検討するようソウル市内の講演で訴えた(趙甲済ドットコム「北の核を予防攻撃で処理する時間はまだ残っている」=韓国語、動画付き=参照)。

 趙甲済氏は「北朝鮮の核兵器は理論的な脅威ではなく、実際の脅威になった。米国の専門家も北の核は『見せるためのもの』程度に軽く見ていたが、本気で戦争を準備していると見なす人が出始めた」と語った。

どこまで「我慢」できるか

 5回目の核実験の直後、趙甲済氏は「朴槿恵大統領は『挙国核安保体制の建設』を国民投票に付せ」(9月9日、韓国語)を発表した。国民投票で核武装の決意を世界に示せ、との主張だ。

 具体的には、大韓民国憲法第72条の「大統領は必要であると認める時は、外交・国防・統一、その他の国の安危に関する重要政策を国民投票に付することができる」に照らし、核爆弾を受けないためにはどうすべきか国民に聞け、と提案した。

 2013年2月の3回目の核実験以降、韓国で世論調査を実施するといずれも3分の2が核武装に賛成する。もし、国民投票で賛否を問えば「我が国も核武装すべきだ」との意見が過半数に達する可能性が高い。

 韓国の核武装に賛成する国はない。国民投票を通じ韓国人の核武装に向けた決意を示すことで、世界の反対を抑え込むのが狙いだ。

 共和党の大統領候補、トランプ(Donald Trump)氏が一時期「日本や韓国には核兵器を持たせ、自力で国を守らせよ」と主張したことがあるが、最近は「そんな発言をしたことはない」と否定している。

 朴槿恵(パク・クンヘ)政権は核保有を否定している。核武装を進める北朝鮮への制裁にブレーキをかける恐れからだ。しかし、国際社会が非難しようと、経済制裁しようと北朝鮮の核武装は進む。予防的攻撃や韓国の核武装の主張が高まれば、どこまで「我慢」できるか、疑問である。