北朝鮮には全世界が懸念

 さらに「誰もが戦争を望んでいない」ことを強調するためでしょう。「金正恩への非核化要求は国連安保理の全会一致の決定だった。世界の我々の友人、同盟国、パートナーにとって最も重要なことなのだ」とコメントしました。

  • 報道官: It’s a priority, obviously, at the United Nations and the UN Security Council, where they had the unanimous vote on that matter. It’s a top issue for our friends and allies and partners around the world.

 これを聞いた記者は「しめた」と思ったに違いありません。直ちに「だったらこの問題は米朝間ではなく韓国の問題だ。だのになぜ、文大統領は他人事のように語るのか」と切り返したのです。

  • 質問: But this is not at all between U.S. and North Korea problem. This is ? the actually problem is that the South Korea, in fact. But Moon thought this is your guys’ problem. That’s not ? how did you think about ? this --

 報道官はまたしても「質問の意味が分からない」と逃げましたが「これが米朝間の問題と考えているのか?」と再び聞かれると、逃げようがありませんでした。

 ナウアート報道官は「北朝鮮と全世界の間の問題だ。米国だけが金正恩体制に懸念を表明しているわけではない」と答えたのです。

  • 質問: -- between the U.S. and North Korea problem. Do you think this is between the U.S. and North Korea problem?
  • 報道官: Is this issue between the United States and North Korea? No. This is between North Korea ? this is between North Korea and the world. It is not the United States standing here alone expressing concern about the activities of Kim Jong-un’s regime.

「まともではない国」をかばう国

 このやりとりを聞いたり、読んだ人は「北朝鮮の核問題は世界的問題だ。なのに、もっともその脅威の下にある韓国が北に立ち向かおうとしない」との印象を深めたことでしょう。米国務省の定例ブリーフは世界の外交関係者の必読サイトです。影響力は極めて大きい。

 そしてこの後、ナウアート報道官は予定していなかったと思われる発言をしてしまったのです。

 報道官は「いい機会だから言っておく」と切り出したうえ、北朝鮮を「自由でも公正な国でもない」「国民に十分な食料も与えない」「移動の自由もない」「自らの国民を飢えさせ、強制的に堕胎させている」「収容所で国民を強制労働させる」と、口を極めて非難したのです。長くなりますが、原文を以下に引きます。

  • 報道官: And by the way, it’s a good opportunity to remind people what it’s like for North Koreans to live under that regime. Okay. That is not a free and fair country. It is not a country where people have ample food, opportunity. It’s not a country where people can come and go as they please. It’s a country where they’re starving their own people; they’re engaged in forced abortions. Pardon me for talking about that, but that is a very grim reality there, where people are living in labor camps, it’s under horrific situations.

 北朝鮮が人権蹂躙国家であることはニュースではありません。でも「中立宣言」が議論された直後にそれを聞かされた人は、韓国という国にますます首を傾げたでしょう。

 「人権を平気で蹂躙する危険な国が今、核武装しようとしている。そんな『世界の敵』を、なぜ韓国はかばおうとするのか」――と思うのが普通です。