韓国の許可が要るのか

 当然の答えですし、こう答えなかったら問題です。でも、会見場でこれを聞いた記者たちは「米国は韓国を守るというのに、米国が米韓共通の敵を攻撃するのを韓国が邪魔すると言い出した。韓国はいったい何を考えているのか。米国はそれを許すのか」と疑問を膨らませたことでしょう。

 ナウアート報道官はこの率直な疑問に対し、何らかの答えをせざる得なくなりました。記者の作戦勝ちです。

 この後いったんは、北朝鮮に対する中国の姿勢などの話題に移りましたが、また「文在寅発言」に話が戻されました。

 「米国の(北朝鮮に対する)いかなる攻撃に関しても、韓国の許可が要るのか」との、本質を突く質問が出たのです。ナウアート報道官は「外交的な問題でもあるが、国防総省も絡む問題だ。直ちには答えられない」と答えました。

  • 質問: It’s not really a hypothetical. What do your agreements with South Korea say? Do you have to get their permission to launch any sort of strike?
  • 報道官: Some of those things are diplomatic conversations and some of those would involve the Department of Defense, so I just don’t want to get into that. Okay.

国防総省とたらい回し

どこかで聞いたような答えですね。

鈴置:米軍制服組のトップ、ダンフォード(Joseph Dunford, Jr.)統合参謀本部議長が8月14日、ソウルの記者会見で同じ質問を受け「それは政治的な決定となることだろう」などと答えています(「ついに『中立』を宣言した文在寅」参照)。

 米政府は「この手の質問にはこう答える」と、応答要領を定めているのでしょう。国務省が聞かれた時は「国防総省も関係するから」、国防総省が聞かれた時は「政治的な判断も要るから」と言い訳し、答えを避ける仕掛けです。

 ただ、この日の国務省担当記者は誤魔化されませんでした。報道官の「韓国は米国の重要な同盟国だ。米国は韓国を守る」という言葉に付け込んだのです。

 記者は「金正恩が韓国を攻撃したら、米国は戦争に巻き込まれると思われる。というのに文在寅大統領は朝鮮半島の戦争は望まないと演説した。彼の真意が分からない」と重ねて聞きました。

 報道官は「あなたの質問の意味が分からない」とか「日本もそうだが、誰も戦争を望まない」などと、はぐらかそうとしました。

  • 質問: -- very confuse about President Moon remark yesterday, because U.S. and South Korea is alliance. But he not want to be war in Korean Peninsula, but however U.S. supposedly involved with war when the North Korean Kim Jong-un attack the South Korea. But why he discourage it, but --
  • 報道官: I’m sorry. I didn’t understand the last part.
  • 質問: President Moon doesn’t want a war in the Korean Peninsula, but --
  • 報道官: President Moon doesn’t want that. Japan doesn’t want that.