平和を守る中国人

各大統領候補のTHAADへの態度は?

鈴置:出馬すると見られているのは、保守から国連事務総長の潘基文(バン・キムン)氏。左派、中道から文在寅(ムン・ジェイン)共に民主党・前代表と安哲秀(アン・チョルス)国民の党共同代表です。

 THAAD配備に関し、左派・中道の2人は否定的です。潘基文氏は態度を明かしていませんが、中国に「弱い」人であるのは確かです。

 潘基文氏は2015年の天安門の軍事パレードを参観しました。その際、会談した習近平主席に「この行事によって、平和を守るという中国の人々の願いが存分に示された。中国は長年にわたって国際平和・開発事業に積極的に尽力してきた」と称賛したのです(「『中国の尻馬』にしがみつく韓国」参照)。

 3人の有力候補すべてが「THAAD反対派」ということになるかもしれません。賛成すれば「私が大統領になっても、5年間の任期中に中国との首脳会談は一度もできません」と国民に言っているのも同然ですから。

 配備時期が2017年12月と、次期大統領が決まる頃に設定されたのも、米国の意向が働いたようにも見えます。配備後に次の大統領から「撤去しろ」と言われたらかないませんからね。

二股のツケを払う時

韓国は「THAAD」という踏み絵を、米中双方から突きつけられてしまいました。

鈴置:二股外交のツケを払う時が来たのです。米中の間を立ち回って米国には自らを守らせ、中国は市場として活用する。米中両大国の力を背景に日本と北朝鮮を叩く――という朴槿恵外交はついに、にっちもさっちもいかなくなったのです。

なぜ、韓国外交が破綻したのでしょう。

鈴置:最後の引き金は「THAAD」なり「南シナ海」なり、米中対立の激化でした。でもそもそも韓国には、二股をかけられるほどの国力も外交環境もなかったのです。

 東南アジアの国なら米中二股は可能でしょう。中国とは空間的に離れていて、それによる軍事的な脅威は小さい。そして例えば、マレーシアには「北マレーシア」がないからです。

 一方、韓国はすぐ隣が中国。北朝鮮という敵国もあって、核武装を進めている。今こそ、同盟国の米国が重要な時です。というのに朴槿恵政権は米国を中国との天秤にかけたのです。

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