5つの対韓制裁

 もう1つの障害は中ロ、ことに中国の脅しです。7月8日、中国の外交部は「強烈な不満」を表明しましたし、国防部は「国の安全と地域の均衡を守るための必要な措置をとる」と報復攻撃も示唆しました。

 中国共産党の対外威嚇用メディア、環球時報も「5つの対韓制裁」を発表しました。その英語版、Global Timesの社説「China can Counter THAAD Deployment」(7月9日)から引用します。

  • 我々は以下の反撃方法を政府に建議する。まず、THAADに関与する企業の製品が中国市場に入り込むことを禁止する。
  • 配備に賛成した政治家への制裁を実施することもできる。彼らの中国入国と、彼らのファミリービジネスの中国展開の禁止である。
  • 加えて中国軍は(韓国配備の)THAADにミサイルの照準を合わせるなど、その脅威を最小化する。
  • THAAD配備による(軍事)バランスの変化と対北朝鮮制裁の関連を考慮し、中国は対北制裁が北東アジアに及ぼす長期的影響を再評価すべきである。
  • 中国はロシアと共に反撃行動に出ることも検討可能である。

朴槿恵に指導力はあるか

外交・安保と経済の両面に渡る「対韓制裁」ですね。

鈴置:中国からどうやって苛められるか、韓国人が戦々恐々としているところに、中国はちゃんと具体例を挙げて脅したのです。

 なお「政治家の入国だけではなく、そのファミリービジネスも中国では禁止する」とはいかにも中国らしい。政治家が権力を利用して商売するのは当たり前――と中国人が考えていることがよく分かります。

結局、韓国がTHAAD配備を認めたとは言っても、いつひっくり返るか分からなのですね。

鈴置:その通りです。東亜日報が7月15日に社説「朴槿恵外交チーム、THAAD論議を切りぬける力があるのか」(日本語版)を掲載しました。見出し通り、リーダーシップに乏しい朴槿恵政権がこの難問を乗り切れるのか――との不安の表明でした。

 「THAADでの決断を見てほしい。韓国は『離米従中』から反転、海洋勢力側に戻った」と言ってくる韓国人が多い。でも、それを安易に信じるべきではありません。彼らだって本心ではそう思っていないのですから。

次回に続く)

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