猿芝居が好きな韓国人

「猿芝居をするな」ということですね。

鈴置:韓国はそれをやるから嫌われるのです。異なる国なのですから意見に違いがあるのは当然です。でも、すぐに透けて見える小細工を堂々とやって本人は悦に入っている。嫌われるというか軽んじられるのです。

 この指摘には東亜日報も恥ずかしく思ったのでしょう。社説でも取り上げました。「米国務省の高官たちが10月を心配する」(6月22日、日本語版)です。

 中央日報も2日続けて、社説で特別補佐官を批判しました。いずれも日本語版で読めます。6月19日には「文正仁特別補佐官の不安な韓米同盟観」、翌6月20日には「青瓦台特別補佐官の軽率な発言で揺れる韓米同盟」を載せました。

 興味深いことに左派系紙のハンギョレも社説「論議呼んだ文正仁特補の『対北対話』発言」で、特別補佐官の発言内容は「解決策の1つ」と評価しながらも「韓米首脳会談の10日前に表明するのは慎重でない」と、首を傾げたのです。左派系紙にも「米韓関係が破壊されるのは見ていられない」と考える人がいるのです。

 左派系紙でそれぐらいですから、保守系紙の社説欄には毎日のように、「反米親北」批判が載ります。

 朝鮮日報は1日に3本、週に18本の社説を載せます――日曜日は休刊なので。6月19日から24日までの6日間で、うち5本が「反米親北」批判でした。6月22日には1日に2本も載せたのです。

朝鮮日報も借りてきた猫

よく書くネタがありますね。

鈴置:あります。この政権が本性をあらわし、急速に「反米親北」色を濃くしたからです。6月24日の「米大使館包囲デモ」に関しても朝鮮日報が社説「韓国大使館がデモ隊に包囲されたらどんな気がするか」(6月26日、韓国語版)を載せました。

 「THAADを配備して韓国を守ろうとする米国の大使館にはデモをし、THAADで韓国に嫌がらせする中国の大使館にはデモをしない韓国人」を憂えたのです。

 まあ、朝鮮日報も米国や日本を批判する時と比べ、中国を批判すべき時は借りてきた猫のように大人しくなりますが。

 同じ日には中央日報が社説「『6・25』韓国戦争記念日の騒々しい韓国社会」(日本語版)で、翌6月27日には東亜日報が社説「韓米同盟の未来、文在寅―トランプ会談にかかる」(韓国語版)で、いずれも米大使館包囲デモに触れ、米韓関係への悪影響を懸念しました。

THAADが守るのは日米

「反米親北をやめろ!」の大合唱ですね。

鈴置:でも、文在寅政権はこの路線を突っ走る可能性が高い。まず、80%前後の高い支持率を維持しているからです。

 確かに「反米親北」に不安を感じる人もいるでしょう。ただ、普通の人は外交よりも内政、それも経済で政権を評価します。「バラマキ」が始まっている中、この高い支持率は当面、続きそうです。

 もう1つは「反米親北」に拍手する韓国人も結構いることです。THAAD反対のための「米国大使館包囲デモ」を報じたハンギョレの「“韓国初”のアメリカ大使館前合法集会、平和的に終了」(6月25日、日本語版)から引用します。

  • この日発言に立ったパク・ソグン韓国進歩連帯常任代表は「米国や日本を防御するためになぜ朝鮮半島が火だるまになる必要があるのか。韓米首脳会談で、文在寅大統領はTHAAD配備を撤回させなければならない」と主張した。

THAADがあるとなぜ「半島が火だるまになる」のでしょうか。

鈴置:米国はTHAADで在韓米軍や在日米軍を北のミサイルから守る。すると米軍は北朝鮮を心おきなく攻撃できるようになる。この結果、第2次朝鮮戦争が起きて火だるまになる――との理屈でしょう。

 与党「共に民主党」の秋美愛(チュ・ミエ)代表も6月27日「THAADのために戦争が起きかねない」と語りました。

 「THAAD配備が米中間の葛藤と南北の誤解を呼ぶ」からと説明しました。中央日報の「韓国与党代表、『THAADのために戦争になることも』」(6月28日、日本語版)が伝えています。

 左派にとっては「THAADを追い出すことこそが半島の平和を守ること」なのです。