キューバ危機の再来

今ごろ「売り渡し」に驚いているのですか?

鈴置:確かに韓国の反応は遅い。トランプ(Donald Trump)大統領が「習近平主席によると、韓国は歴史的に中国の一部だった」と語った時、鈍感な日本でさえ、専門家は「米国は韓国を見捨てる伏線を張り始めたな」と考えました(「『韓国は中国の一部だった』と言うトランプ」参照)。

 「朝鮮半島全体が中国の勢力圏である」との習近平主席の主張を、トランプ大統領が認めたということですからね。

 しかし、韓国人は「我が国が属国だったと米中首脳が話し合った」ことに怒りを爆発させてしまい、発言に込められた意味に思い至らなかったのです(「米国に見捨てられ、日本に八つ当たりの韓国」参照)。

アリソン教授は米韓同盟をも材料にした「米中の取引」があり得るというのですか?

鈴置:「多くの米大統領にとってはあり得ない案だ。しかし、トランプは独創的だ」と書いています。つまり「あり得ない話ではない」と予測したのです。

 アリソン教授は1962年のキューバ危機の例を挙げています。米ソは核戦争の危機を目前にして、双方が歩み寄りました。

 ソ連はキューバからミサイルを引き上げました。当時は秘密にされていましたが、米国はソ連を狙っていたミサイルをトルコから撤収しました。危機に直面した大国はそれまでの常識を越え「大きな取引」に出たのです。

「日本の良心」の失敗

金大中顧問は「THAADなどでつまらぬ嫌がらせをしていると、今度こそ米国に見捨てられるぞ」と言いたいのですね。

鈴置:その通りです。同じ朝鮮日報の鮮于鉦(ソヌ・ジョン)社会部長は「日本の失敗」を例に挙げ「見捨てられ」に警鐘を鳴らしました。「米国はこんな韓国を理解するか」(韓国語)です。ポイントを訳します。

  • 鳩山元首相は韓国に来てはひざまずいて謝罪する「日本の良心」だ。しかし日本では「戦後最悪の首相」である。
  • 首相になると、自民党政権が米国に約束していた沖縄・普天間基地をサンゴ礁に移すとの約束を覆した。「自然への冒涜だ」と言ったが、それこそ米国への冒涜だった。
  • 米国側は「同盟の意味は特定の基地の場所を巡る問題よりも大きい」とコメントした。これを日本政府は「沖縄の基地問題が同盟を揺るがすことはない」と受け止めたが、間違っていた。
  • 米国の真意に気づいた鳩山首相はあたふたと自民党が合意した案に戻ったが、一度ヒビの入った米日関係は元に戻らなかった。

 「THAADを弄ぶ文在寅大統領は韓国の鳩山になる」ということです。