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米朝首脳会談後に会見に臨むトランプ大統領(写真:AP/アフロ)

 「米国から見捨てられた」韓国の親米保守が崩壊した。

韓国も知らなかった演習中止

鈴置:韓国の保守系メディアは6月12日の米朝首脳会談を極めて悲観的に報じました。トランプ(Donald Trump)大統領が会談後の会見で米韓合同軍事演習の中断と在韓米軍の撤収に言及したからです。

 いずれも米韓同盟の弱体化につながります(「から騒ぎに終わった米朝首脳会談」参照)。大統領は在韓米軍撤収については「将来の話」として言及しましたが、演習中断は直ちに現実のものとなりました(「米朝首脳会談後の動き」参照)。

 朝鮮日報は「合同演習中断、駐韓米軍撤収に言及したトランプ…安保ショック広がる」(6月12日、韓国語版)との見出しで速報しました。

 韓国政府も演習中止は事前に知らされていませんでした。聯合ニュースは「トランプ氏の韓米軍事演習中止発言が波紋 韓国国防部『当惑』」(6月12日、日本語版)との見出しで伝えました。

米韓同盟が機能不全に

 保守系紙は一斉に社説で米朝首脳会談の結果に不安を表明しました。それは2段構えでした。会談直後には「この米朝合意では北朝鮮の非核化は実現しない」と懸念しました。これは日本のメディアも同じです。

 韓国の保守メディアはさらに「米韓同盟が機能不全に陥る」と訴えたのです。危機感は保守系大手3紙の社説に共通しました。

・連合訓練(合同演習)の中断は結局、在韓米軍の縮小または撤収につながるという懸念も出てくる=中央日報「米朝首脳会談後に不安定になった韓半島の安全保障」(6月14日、日本語版)

・合同演習をしなければ同盟は弱体化するほかはない=朝鮮日報「北朝鮮の核廃棄は不透明というのに韓米同盟だけが弱体化する」(6月15日、韓国語版)

・合同軍事演習は、有事の際の米軍増援戦力の展開が核心なのに、その演習が中止されれば、対応力の顕著な弱体化として現れるほかなく、在韓米軍撤退論につながりかねない=東亜日報「北朝鮮の非核化に進展がないのに『贈り物』で韓米軍事演習を中止するのは悪い前例となる」(6月16日、日本語版)