米帝国主義が南北を分断

ハワイの人々が中国国民になりたいと願うとは思えません。

鈴置:もちろん、そんなことにはならない。しかし、強国の併合の歴史を言い募れば、フィリピン人や韓国人は心が揺れるでしょう。

 米国に複雑な思いを持つフィリピン人は一度、米軍基地を追い出したこともあるのです。韓国の左翼は「日本に代わって米国が韓国を支配している」「米帝国主義は韓国に軍事拠点を確保すべく、南北を分断したうえ対立を煽っている」と主張しています。

 中国は米国とフィリピン・韓国の分断工作や、沖縄の独立運動に油を注ぐためにも「帝国主義がアジアを食い物にした歴史」を今後、ますます声高に語るでしょう。韓国は例によって、そのお先棒を担いでいるわけです。

韓国人はなぜ、米国がハワイやフィリピンを併合したことを忘れているのでしょうか。

鈴置:彼らはものごとをきちんと調べずに語るところがあります。感情的になって主張し始めると、事実関係はどうでもよくなってしまう。「コリアン・ロジック」のゆえんです。

韓国では日本で以上に「桂―タフト協定」(Taft-Katsura Agreement、1905年)が有名と聞きます。

鈴置:ええ。しばしば新聞で言及されます。ただ、それは「日本による韓国支配を米国が認めた」協定――つまり、韓国が米国に捨てられた契機と理解されていて「米国によるフィリピン領有を日本に認めさせた」側面は、ほとんど語られないのです。

無神経さに米国も困惑

結局、韓国は「広島訪問」で……。

鈴置前々回のドン・キホーテの例えをもう一度使えば、日本という悪い巨人――本当は単なる風車に過ぎないのですが――にヤリを掲げて突進し、間違って隣の風車――同盟国の米国を攻撃してしまったのです。

 この無神経さには、広島演説を書いた人を含め米国の関係者はさぞかし困惑し、苦笑したと思います。

 もっとも、韓国人の立場からすれば「苦笑された」では済みません。欧州に加え米国というただ1つの同盟国から、植民地であったことに同情なんてしないよ、と申し渡されたのと同じなのですから。

 ただでさえ友達の少ない国です。韓国人の寂寥感は増すばかりと思います。これにより、日本攻撃用の新たな武器「植民地カード」を作る際の応援団が西欧では得られないことも判明しました。

 この問題でも中国だけが頼みになります。オバマ大統領の広島訪問は、韓国をしてさらに中国に向かわせる材料となりそうです。