飼い犬に手をかまれた

  • 安倍談話は戦後70年にあたって全世界を対象としたので、日韓関係への影響は限定的だった。しかし、将来、日韓首脳会談をする場合、当然ながら、韓国への植民地支配に対する安倍首相の反省と謝罪が焦点となるだろう。
  • もちろん安倍首相は、いまだ菅談話の存在すら正式に口にしたことがないほど抵抗感が強い。しかし、先に紹介したように菅談話は、植民地支配の歴史認識の中で最も進展したものであり、閣議の議決を経た日本政府の公式見解であるため、日本に対して堂々と継承を要求しなければならない。
  • 一つ残念な点は、菅談話の存在が韓国内であまり注目されていないことだ。韓国がまず、菅談話の成果を守ろうとしなければ、安倍政権は村山談話の鮮明性を後退させたように、菅談話にも同じことを試みるだろう。

 2010年8月10日、菅直人首相(当時)は「内閣総理大臣談話」を発表し、韓国に対し植民地支配を謝罪しました。

 趙世暎特任教授は菅談話をもっと活用し、日本に対する外交的武器とすべきだ、と韓国人に訴えたのです。

 ことに2015年末の「合意」で「慰安婦カード」が使いにくくなっている(「掌返しで『朴槿恵の親中』を批判する韓国紙」)。今こそ「植民地カード」の出番なのです。

 というのに、韓国人が「日本の良心」と持ちあげてきた朝日新聞が「植民地支配を謝罪する欧州の国なんてないぞ」と本当のことを書いてしまった。韓国人とすれば、飼い犬に手をかまれた感じでしょう。

見損なっていた「朝日」

朝日はなぜ、韓国から怒られるようなインタビュー記事を載せたのでしょうか。

鈴置:聞き手の刀祢館正明編集委員が、編集後記に当たる「取材を終えて」で以下のように書いています。

  • てっきり「謝罪を求めないなんて、日本はだらしない」と語ると思っていた。そんな予想は大はずれ。

 塩野七生氏を見損なっていたのです。

次回に続く)

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