米国に八つ当たり

米国に対し高飛車ですね。

鈴置:東亜日報もオバマ大統領に対し「韓国人慰霊碑に行け」と強硬に要求していました。5月12日の「米オバマ大統領の初の広島訪問を注視する」(韓国語版)では以下のように書いています。

  • オバマ大統領は韓国人慰霊碑も訪れ、日本の過ちに間接的にでも警告することを望む。

 韓国人読者の前でこれだけ突っ張って見せたのに完全に無視された。そこで「高飛車」に書いたのでしょう。ただ、あまりの高姿勢に、どこかからモノ言いが付いて慌てて差し替えたのではないかと思います。

 ことに(2)はめちゃくちゃな理屈です。「オバマが広島へ行くなら我が国の大統領も誘うべきだった。誘いがないのはけしからん」との難癖です。

 朴槿恵大統領は中国の目を気にして「日米韓」の協調行動を徹底的に避けています。誘われたら広島へ行ったと考える外交関係者は、まずいないでしょう。

 今回の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)にも日本から招待されたのに、アフリカ歴訪の先約があることを理由に断ったとされています。もちろん「中国包囲網」に加わったと見なされないためです。

 現実から完全に遊離した主張――八つ当たりそのものでした。早版の社説のまま行っていたら、東亜日報はソウルでも物笑いの種になっていたでしょう。

ますます現実と遊離

韓国人の、現実とはかけ離れた世界観や奇妙なロジック。知れば知るほどに驚きます。

鈴置前回も話しましたように、米国が韓国を見限る可能性も出てきた。それでも韓国では天動説的な議論が続いているのです。

6月4日のカーター(Ashton Carter)米国防長官のシンガポール演説のことですね。

鈴置:軍事力で勢力を拡大する中国を念頭に、カーター国防長官は「原則に立脚した安全保障のネットワーク(principled security network )」の結成を呼び掛けました。

 米国とすでに協力を進めている国の名を挙げましたが、そこに「韓国」はありませんでした。同盟を結んでいる日本、豪州、フィリピンはもちろん、同盟のないインド、ベトナム、シンガポールまで「リスト」入りしたというのに。

 「韓国の天動説」は最近、特にひどくなっている感じです。趙甲済(チョ・カプチェ)ドットコムのヴァンダービルド氏は孤軍奮闘、声をからして警告を発してきました。

 こんな中、ようやく大手紙にも自分たちの「奇妙な現実認識」への反省が載り始めたというわけです。懸念するのは鮮于鉦論説委員だけではありません。

次回に続く)

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