勘違いし続ける韓国人

 日米両国政府は「謝罪なしの広島訪問」で合意していたのです。「歴史をどう見るか」あるいは「歴史の責任」に関する議論に足をとられることを避けるためでした。

 広島訪問は、任期満了間際のオバマ大統領の実績作りの側面が大きかった。しかも日米関係悪化という巨大なリスクもあった。

 そこで両国政府は、双方の責任を露骨に問うことのない「謝罪なし」によって乗り切ったわけです(「日本の『被害者なりすまし』を許すな」参照)。

 もし、韓国が米国を批判したいのなら「米国が日本に対し謝罪しなかったのは不当だ。それにより日本も謝罪を逃れたではないか」と言うべきだったのです。

 というのに韓国人は勘違いして「事実上の謝罪だった。けしからん」と米国へのフラストレーションを高めてしまいました。鮮于鉦論説委員はそれを諌めたのです。

オバマは日本ばかり可愛がる

韓国人の誤認により、何か問題が起きたのですか。

鈴置:まだ、表面化はしていません。しかし、この手の誤認は、韓国にとって極めて危険です。韓国の唯一の同盟国である米国への不信感をどんどん膨らますからです。

 新聞記事はともかく、それへの書き込み欄や交流サイト(SNS)は「オバマは日本に騙されて免罪符を渡した」「結局、米国は日本ばかり可愛がる」「韓国はいつも無視される」「それなら我々は中国側に行こう」といった韓国人の怒りで満ちています。もちろん、韓国メディアの虚報が原因です。

 前回、東亜日報の社説の日本語版と韓国語版が大きく異なると説明しました。早版に「まずい部分」があったために大きく書き直した。しかし早版を翻訳して作る日本語版では、そのまま掲載されてしまった――のではないか、と思われます。

 以下は、日本語版の「原爆慰霊碑を訪れた米大統領、北朝鮮の核を頭上に載せて暮らす韓国」(5月28日)だけに載っている文章、つまり遅版になって削除されたと見られる部分です。

(1)韓国は、日本が加害者から被害者に化ける状況に拍手することはできないということを米国は知らなければならない。
(2)核のない世界を主張しながらも、いざ北朝鮮の核に対しては「戦略的忍耐」で一貫したオバマ大統領が、今回朴槿恵大統領を招待して北朝鮮(の)核への日米韓共同対応を強調しなかったことは残念だ。