二股を推奨の朝鮮日報

韓国メディアに批判的なヴァンダービルド氏は「広島訪問」について書きましたか?

鈴置:何本も書きました。ただし、いつものことですが、大手紙と比べ桁違いに読者の少ないネットメディアの趙甲済(チョ・カプチェ)ドットコムが舞台です。

 何と、うち1本は姜天錫論説顧問のこの記事への批判でした。「『100年前の気分』にとらわれる韓国」(5月14日、韓国語)です。

 批判のポイントはいくつかあります。まず「米日政治ショー」と書いたことに関してです。

  • 韓国の同盟国と友邦である米国と日本の首脳外交に、韓国を代表する新聞が「米日政治ショー」との見出しを付けた。
  • まだ100年前の気分を一歩も抜け出せず、同盟国や友邦国の首脳外交に対し不平不満(「平和ショー」など)をこぼす状態だ。全く成熟しきれていない。

 親米保守のヴァンダービルド氏としては「もっと立ち位置を明確にしろ」と言いたかったのでしょう。朝鮮日報の主張は「米中の間では二股をかけろ」式のものが多い。

 2015年10月に朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が訪米した際、共同会見の場でオバマ大統領から「中国の不法な振る舞いに批判の声を上げろ」と迫られたことがあります。

 米国の叱責への対応で、保守系紙の意見は割れました。東亜日報は米国側に立とうと言い、中央日報は中国に傾きました。朝鮮日報の社説は歯切れが悪く、どちらつかずのものでした(「蟻地獄の中でもがく韓国」参照)。

 姜天錫論説顧問は今回の記事で米中の厳しい対立が始まったことを見過ごしてはならないと主張しましたが「海洋勢力側に立つべきだ」とまでは書かなかったのです。

韓国人の精神を堕落させる

ヴァンダービルド氏のもう1つの批判のポイントは?

鈴置:「いつまで弱者のつもりか」です。要所を訳します。

  • こうした記事は、今日の韓国人をして引き続き国を失った気分(悲しみ)にひたって生きていくことと、周辺からの終わりのない慰めと同情を渇望させ、もしそれらが望んだほどに与えられなければ、際限のない不平と不満をこぼすように誘導する(韓国人の精神を堕落させる)、望ましくないものである。

姜天錫論説顧問の記事に、そんな部分はありましたか?

鈴置:先ほどは訳しませんでしたが、最後の2段落に韓国人被爆者の慰霊碑の話が出てきます。見出しも、そこから取っています。以下です。

  • 広島の原爆被害者16万人のうち3万人は当時の朝鮮人だった。長崎では7万人のうち1万人がそうだ。安倍総理はこの事実を知っている。オバマ大統領も知らないはずがない。
  • 平和公園の片隅に立つ韓国人慰霊碑は2人の姿を見守ると同時に、祖国に対しても恨みに満ちた叱責の言葉を投げかけるだろう。「100年前に世界の動きを読み違えて国を失ったのに、今もこのざまか」と。