日米同盟強化に危機感

広島訪問は「日米の政治ショー」なのでしょうか。

鈴置:日本で見ていると、政治効果を狙ったショーとはとても思えません。なぜなら、日米同盟を強化すべきだと考えている保守派には、こんな「ショー」は不要です。

 それどころか「オバマの任期終了直前の実績作りのため、日米同盟が危険に晒される」と考える人が多い。米国の軽率さに対する失望を語る人もいます(「日本の『被害者なりすまし』を許すな」参照)。

 一方、安倍晋三政権の日米同盟強化に反対する人は「広島訪問によって日本はますます危険な状況に引き込まれる」と反発を強めています。両者を合わせ見ると「日米同盟強化」に逆効果か、せいぜい「意味がない」程度なのです。

 ただ、韓国人から見れば「注目すべき政治ショー」なのでしょう。これにより、旧敵の日米が和解し同盟を強化するように見える。もちろん中国を包囲するのが目的ですから「海洋側か、大陸側か」の踏み絵をますます迫られると韓国人は危機感を高めるわけです。

 日本を訪問する直前、オバマ大統領はベトナムを訪問し、中国を念頭に軍事協力強化を約束しました。これこそ劇的な変化です。米国はベトナムとは血みどろの戦いを続け、1995年まで国交がなかったのですから。

 韓国の立ち位置が問われる材料が、また増えたのです。声を大にして「韓国人よ、目を覚ませ」と叫びたくなるのも分かります。

韓国に謝らないと承知しないぞ

警告の効果はありましたか?

鈴置:全くないようです。依然としてどのメディアも「韓国人も対象になるのか」と米国に迫り続けています。

 同じ朝鮮日報でさえ、3日後に金秀恵(キム・スヘ)東京特派員の「広島に行くオバマ大統領へ」(5月16日、韓国語版)を載せました。

 2015年7月に外国人記者のツアーで広島を訪れ、被爆者と会った体験を基に書いています。結論は以下です。

  • オバマ大統領が行く時も(自分が体験した朝鮮人被爆者への無視と)同じような状況が繰り返されるなら、笑って見過ごすことはできません。
  • 朝鮮の人々は植民地支配と原爆で2回、苦痛を受けました。その苦痛に何とおっしゃるのか、広島で見守りたいと思います。

 要は「韓国人も謝罪や追悼の対象にならなかったら承知しないぞ」ということです。姜天錫論説顧問の警告は後輩にも届かなかったようです。