「被害者コスプレ」と罵倒する韓国

核兵器をなくしたい、との思いがひしひしと伝わってきますね。

鈴置:謝罪を求めるとオバマ大統領の広島訪問は実現しない。すると核廃絶を進めることはできない。それなら謝罪は求めない――との判断です。心情はもっと複雑に決まっていますが。

 被爆者の意向も反映してのことでしょう、日経電子版の意識調査では「オバマ大統領に最も期待するのは?」との問いに対し「平和記念公園や原爆資料館への訪問」が65.1%と圧倒的多数でした。

 「原爆投下への謝罪」は2番目で6.9%。6.8%の「被爆者との面会」がそれに続きました。「クイックVote」(第271回)「オバマ大統領広島訪問『歓迎』95%」(5月19日)で読めます。

 韓国人には「ぐっと抑えて」が分からないのです。被害者は大声で泣き叫ぶもの――が韓国の常識だからです。

 「目的のためなら感情を殺す」という行動を理解できないので「日本は謝罪させ被害者になりすまそうとしている」と思い込み、韓国メディアは口を揃えて「被害者コスプレ」と日本を罵倒するのです。

 なお、聯合ニュースの「韓国人原爆被害者が広島訪問へ」(5月12日、日本語版)は「韓国人被爆者はオバマ大統領の訪日に合わせ広島を訪問し、米日両国政府に謝罪と補償を求める」と報じています。

「自分の弱さ」見つめた韓国人

韓国人は国際社会でも自分が「被害者」であることを強調しますね。

鈴置:それを外交資源にしているからです。2002年に北朝鮮による日本人拉致が明らかになった直後、韓国メディアは一斉に「これで日本が被害者になりすます。我々の被害者の立場を奪うつもりだ」と書きました。

 もっとも昔は、自分の国の弱さを恥じる韓国人もいました。私の韓国学のお師匠さんの1人は「悔しかったら強くなるしかないのです」といつも語っていました。もう、四半世紀も前の話ですがね。

 植民地支配に関しても、不平がましいことは一切言わない韓国人がいました。それを日本人に対して言った瞬間、自分の国の弱さから目を背けることになる、との信念があったのです。

 1980年代までは韓国社会の要所、要所を、そんな気骨ある人が固めていました。亡国を身をもって体験しただけに、繰り返さないためにはどうすればよいか、韓国の指導層は全身全霊で考えていたのです。

 1979年に暗殺された朴正煕(パク・チョンヒ)大統領がその最たる人でした。一方、韓国人に過去を謝らない日本人もいました。