米韓は信頼の危機

韓国の保守は?

鈴置:悲鳴をあげています。北朝鮮専門家の李東馥(イ・トンボク)氏が趙甲済(チョ・カプチェ)ドットコムに「文在寅政権の出帆と目に見えるようになった韓米間の『信頼の危機』」(5月12日、韓国語)を書きました。

  • 米国務省のアダムス(Katina Adams)報道官が「韓国の新政権と変わらない協力を期待している」「THAADの配備は同盟国間の合意」と強調した。
  • 「期待する」との発言の底には「現実にはそうはならない可能性がある」との不安感がある。「同盟国の合意」の強調には「合意したことは履行すべきだ」との警告が含まれている。
  • 文在寅政権が韓米間の信頼の危機の原因を提供しているのなら、国民的な次元で必要な措置を考えねばならない。

 韓国の新政権に対するアダムス報道官の発言は聯合ニュースの質問に答えたもので「State Department: U.S. looks forward to continuing close cooperation with S. Korea's next president 」(5月9日、英語版)で読めます。

トランプ政権も「警告」していたのですね。

鈴置:もちろんです。文在寅氏の「反米親北」は公知の事実でしたから。ホワイトハウスも当選を祝うメッセージ(5月9日)の中で「両国の同盟を引き続き強化したい」と表明し「同盟をないがしろにするなよ」とクギを刺していたのです。

「非核化の機会」逃す文政権

でも、文在寅大統領は米韓同盟をないがしろにし始めた。

鈴置:それだけではありません。北朝鮮の核武装を事実上、認める方向に動く可能性があるのです。

 韓国の元外交官の千英宇(チョン・ヨンウ)韓半島未来フォーラム理事長が東亜日報に「文大統領は平和的な非核化の機会を逃してはならない」(5月11日、韓国語版)を書きました。要約します。

  • 即興的な言動で多くの国で嘲笑されるトランプ大統領。だが、韓国にとっては転がり込んできた宝物になりうる。これほどに北朝鮮の核問題を熱心に解決しようとする米国の大統領はいなかったし、今後も出そうにない。
  • 米国と協力し、北朝鮮が核を放棄せざるをえないほどに圧迫の強度を高めてこそ北は非核化交渉に出てくるし、南北対話の条件も熟す。
  • 軍事的オプションに反対することを、戦争の危機から国を救う選択と間違いやすい。先制攻撃に対する信頼性を失わせる言動は、北が制裁に決然と対抗するよう煽るだけだ。
  • 南北対話の再開に焦るあまり、窮地に追い込まれた北に息をつかせれば、千金のような非核化の機会を逃す。米国と中国でさえ難しい非核化を、南北首脳会談を通じて実現しようなどという幻想を捨てるべきだ。