北朝鮮のミサイルが発足直後の文在寅政権を揺さぶる(写真:AP/アフロ)

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 米韓の間で不協和音が生じた。北朝鮮との対話に動く文在寅(ムン・ジェイン)大統領に対し、トランプ(Donald Trump)大統領が「待った」をかけたのだ。状況を見切った北朝鮮は5月14日、弾道ミサイルを発射、韓国を揺さぶり始めた。

「焦るな」とトランプ

鈴置:トランプ大統領は5月12日、米NBCのインタビューに答え「文在寅大統領は(南北)対話に前向きだ。対話には反対しないが、条件が整ってからすべきだ」と語りました。

 米議会が設立した自由アジア放送(RFA)の記事「トランプ『南北対話は適切な条件下でのみ可能』」(5月12日、韓国語版、韓国語と英語の音声付き)はトランプ大統領の発言を原語でも報じています。以下です。

  • He's more open to discussion. I don't mind discussion. But it's under certain circumstances.

 RFAは「北朝鮮が核・ミサイル開発を放棄する意思を見せる前に南北対話をすべきではない」との米国のメッセージだと解説しています。

 要は「北朝鮮との対話を焦るな。焦るといい結果は出ない」と、文在寅大統領を諭したのです。トランプ大統領は「1、2カ月待てばもっといい答が得られる。様子を見よう」とも文在寅大統領に呼び掛けました。

  • I could probably give you a much better answer to that in a month or two months. We're going to see what happens.

 米国が軍事的な圧力を、中国が経済的圧力をかけているのでいずれ北朝鮮は譲歩するだろう、と見通したのです。

カネを北に送りかねない韓国

わざわざ文在寅大統領にクギを刺したのは?

鈴置:韓国の新政権は米国でも「反米親北」と見なされています。放っておくと「南北対話」と称して北朝鮮にカネを送りかねない。せっかく世界に呼び掛け、実行している圧力が無になると懸念したのです。

 文在寅大統領は「当選したら米国よりも先に北朝鮮に行く」と宣言していました。国連の対北経済制裁に応じて閉鎖・中止した開城工業団地と金剛山観光事業に関しても「再開する」と公約していました。

 在韓米軍基地に配備されたTHAAD(=サード、地上配備型ミサイル防衛システム)も「政権をとったら見直す」と約束していました。

 選挙期間中に発言の一部は軌道修正して見せましたが、韓国世論は「偽装転向」と疑っています(「文在寅が大統領になったら移民する」参照)。