
在韓米軍の費用は日本に払わせればよい――。韓国でこんな声が出てきた。
日韓独は100%支払え
米軍の駐留経費の分担問題が日本の新聞をにぎわせています。
鈴置:共和党の予備選で、不動産王のトランプ(Donald Trump)候補が「日本や韓国、ドイツなどには駐留経費を100%支払わせよう」と語ったのがきっかけです。
トランプ氏が大統領にならなくても、駐留経費は米国と同盟国の間で問題化しそうです。「なぜ、我々の税金を使って豊かな同盟国を守っているのか」と考える米国人が増えているからです。
韓国では日本以上に論議を呼んでいます。米国との同盟があるからこそ国を維持できている、との意識が強いためです。ことに今、韓国は北朝鮮の核武装の脅威に直面していますし。
米国に払うなら中国と同盟
でも、米韓同盟は揺れているのではありませんか?
鈴置:ええ、そこがポイントです。「北朝鮮の核」に対しては米韓同盟を頼りにしたい半面、それにより本当に抑制できるのかと韓国人が疑いを持ち始めたところです。
米国ではなく中国を頼りにすればいい、という発想も広がっています。意識調査を見ても明らかです(「米中どちらが重要か」参照)。

今後、米国が「トランプ化」するにつれ、在韓米軍への負担――米韓同盟を巡る議論はかなり複雑になるでしょう。米国が「経費分担を増やせ」と強力に要求するのなら、中国と同盟を結ぼう――という声も出てきかねないからです。
ただ今現在は、ほとんどの韓国メディアが「米韓同盟は存続する」との前提で「韓国は十分に経費を分担している」と主張しています。保守系紙は政府を代弁して、左派系紙は反米感情から――と背景は異なりますが。
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