盧大統領自殺の恨み

 保守系で、最大手紙の朝鮮日報は5月2日の社説「文候補は『盧武鉉の悲劇』を報復するために執権するのか」を載せた。以下、要約だ。

  • 文在寅候補は遊説で「朴槿恵前大統領の友人が国家権力を利用して不正に蓄財した財産はすべて国家が環収する。李明博(イ・ミョンバク)政権による4大河川をめぐる不正などすべて改めて調査し、不正に蓄財された財産があれば環収する」などとした。
  • 裁判が終了した事案を再び取り上げ問題視する文氏の狙いは、もしかすると李明博政権で行われた盧武鉉政権に対する捜査、盧元大統領の自殺に対する恨みを晴らすことにあるのではないだろうか。

 韓国社会には不安感が広がる。左右対立の激化に加え、米韓同盟廃棄への恐怖からだ。「米国に守ってもらえない韓国には住みたくない」と明かす韓国人が増す(「文在寅が大統領になったら移民する」参照)。

東北アジアは激動の時代に

 もちろん、「反米親北」の新政権に真っ向から立ち向かおうと決意する保守派もいる。その1人、在野の保守運動指導者、趙甲済(チョ・カプチェ)氏は「国民抵抗権」の発動を主張する。

 自由と民主主義をうたう大韓民国憲法を否定する政権に対しては実力で戦う権利が国民にはある、との呼び掛けだ。

 親米保守派の中にはクーデターも念頭に置く人もいる。建国以来、韓国では2度クーデターが成功したが、いずれも社会が混乱し急速に左傾化した時だった(「『民衆革命』は軍事クーデターを呼んだ」参照)。

 北朝鮮の核武装を阻止しようと動く米国と日本。その真っ只中に登場した韓国の「反米親北」政権。展開を読むのは難しい。1つ言えるのは、どう転んでも東北アジアの混乱がより深まることだ。

次回に続く)

■変更履歴
文在寅氏の大統領就任に合わせて本文を一部改訂しました。 [2017/05/10 12:00]
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孤立する韓国、「核武装」に走る

■「朝鮮半島の2つの核」に備えよ

北朝鮮の強引な核開発に危機感を募らせる韓国。
米国が求め続けた「THAAD配備」をようやく受け入れたが、中国の強硬な反対が続く中、実現に至るか予断を許さない。

もはや「二股外交」の失敗が明らかとなった韓国は米中の狭間で孤立感を深める。
「北の核」が現実化する中、目論むのは「自前の核」だ。

目前の朝鮮半島に「2つの核」が生じようとする今、日本にはその覚悟と具体的な対応が求められている。

◆本書オリジナル「朝鮮半島を巡る各国の動き」年表を収録

中国に立ち向かう日本、つき従う韓国』『中国という蟻地獄に落ちた韓国』『「踏み絵」迫る米国 「逆切れ」する韓国』『日本と韓国は「米中代理戦争」を闘う』 『「三面楚歌」にようやく気づいた韓国』『「独り相撲」で転げ落ちた韓国』『「中国の尻馬」にしがみつく韓国』『米中抗争の「捨て駒」にされる韓国』 に続く待望のシリーズ第9弾。10月25日発行。