韓国を屈服させた日本?

「米中間でフリーズする韓国」ですか。日本の新聞を読んで、韓国は米国や日本側に戻ってきたと思い込んでいました。

鈴置:「海洋勢力側に戻った韓国」とのニュアンスで新聞が書くのは、日本の外務省がそう説明しているからでしょう。

 日本に来ては、そう言って回る韓国人も多い。対北朝鮮制裁で協力を得たり、通貨スワップを結んでもらうために「日本とよりを戻した」ふりをする作戦です。

日本の外務省はなぜ、そんな説明をするのでしょうか?

木村:「そうだったらいい」との願望からかなあ、と思います。1990年代までの「歴史認識問題などでは強硬だけど、困った時にはびっくりするくらい素直に頭を下げてくる韓国」の印象を、一部の外交関係者は依然として持っているのでしょう。

 近年の「歴史戦」的な、日韓はゼロサムゲームを闘うとの認識がかぶさって、両国関係を勝ち負けで考えるようになったことも大きい。

 そんな空気の中で「最近の一連の外交ゲームで、韓国を屈服させた」と外交関係者が解説すれば、政治家も世論も喜びますし、功績として誇れるのです。

韓国を笑えない

鈴置:「韓国を屈服させた」のだとしても、その主語は日本ではなく、米国なのですけれどね。

木村:韓国を屈服させたと油断していたら、土壇場で逆襲されて慌てまくった「ユネスコの戦い」と同じ構図です。日本はあの失敗から何も学んでいないのかもしれません(「『世界遺産で勝った』韓国が次に狙うのは……」参照)。

鈴置:確かに。「世の中は我が国が仕切っている」と日本人の前でそっくり返って見せる、韓国政府関係者を笑うことはできません。

                                                   
●急展開する朝鮮半島情勢
2015年
9月3日 朴槿恵大統領、米国の制止を振り切り天安門で軍事パレードを参観
9月19日日本で安全関連保障法が成立
10月5日TPP創設に合意
10月16日米韓首脳会談後の会見でオバマ大統領が韓国の中国傾斜を批判
10月27日米iイージス艦「ラッセン」、南シナ海の中国の人口島に接近
12月28日日韓が「慰安婦合意」
2016年
1月6日 北朝鮮、4回目の核実験
1月7日韓国の最大手紙の朝鮮日報と与党幹部、核武装を主張
2月7日北朝鮮、長距離弾道ミサイル実験
韓国、在韓米軍基地へのTHAAD配備を容認
2月17日王毅外相、非核化と平和協定を同時に進める交渉を提案
2月23日米中外相、非核化と平和協定を話し合う6カ国協議をともに提唱
駐韓中国大使がTHAAD配備に関連「中韓関係は被害受ける」
3月2日安保理、対北制裁案を採択
3月7日米韓合同軍事演習開始(4月30日まで)
4月13日韓国総選挙で与党が過半数割れ、「慰安婦合意」の履行に疑問符
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「中国の尻馬」にしがみつく韓国

2015年9月3日、朴槿恵大統領は中国・天安門の壇上にいた。米国の反対を振り切り、抗日戦勝70周年記念式典に出席した。

10月16日、オバマ大統領は、南シナ海の軍事基地化を進める中国をともに非難するよう朴大統領に求め、南シナ海に駆逐艦を送った。が、韓国は対中批判を避け、洞ヶ峠を決め込んだ。韓国は中国の「尻馬」にしがみつき、生きることを決意したのだ。

そんな中で浮上した「核武装」論。北朝鮮の核保有に備えつつ、米国の傘に頼れなくなる現実が、彼らを追い立てる。

静かに軋み始めた朝鮮半島を眼前に、日本はどうすべきか。目まぐるしい世界の構造変化を見据え、針路を定める時を迎えた。

中国に立ち向かう日本、つき従う韓国』『中国という蟻地獄に落ちた韓国』『「踏み絵」迫る米国 「逆切れ」する韓国』『日本と韓国は「米中代理戦争」を闘う』 『「三面楚歌」にようやく気づいた韓国』『「独り相撲」で転げ落ちた韓国』に続く待望のシリーズ第7弾。12月15日発行。