20日に平壌で開催された北朝鮮の朝鮮労働党中央委員会第7期第3回総会に出席する金正恩委員長(写真:KCNA/UPI/アフロ)
●北朝鮮の非核化を巡る動き(2018年)
1月1日金正恩「平昌五輪に参加する」
1月4日米韓、合同軍事演習の延期決定
2月8日北朝鮮、建軍節の軍事パレード
2月9日北朝鮮、平昌五輪に選手団派遣
3月5日韓国、南北首脳会談開催を発表
3月8日トランプ、米朝首脳会談を受諾
3月26日金正恩訪中、習近平と会談
4月1日頃ポンペオ訪朝、金正恩と会談
4月17―18日日米首脳会談
4月21日北朝鮮、核・ミサイル実験の中断と核実験場廃棄を表明
4月27日南北首脳会談
5月末から6月米朝首脳会談
米朝首脳会談の後 習近平、訪朝か

前回から読む)

 北朝鮮と韓国が激しく動く。だが、よく見ると米中の掌の上で踊っているに過ぎない。

世界を欺くペテン劇

北朝鮮が核・ミサイル実験の中断を表明しました。

鈴置: 4月20日、朝鮮労働党が中央委員会総会を開き採択しました。もちろん、ペテン――世界を欺く偽装平和攻勢です。

 総会ではまず、金正恩(キム・ジョンウン)委員長が「我が党の課題について」を報告。討議を経て「決定書」が採択されました。そのうち、核に関連する項目は4つです。

 北朝鮮のサイト「我が民族同士」の「金正恩委員長の指導の下に朝鮮労働党中央委員会第7期第3回総会が行われる」(4月21日、日本語版)から要約して引用します。

  1. 核兵器開発を完了したと宣言する。
  2. 核実験とICBM(大陸間弾道弾)の発射実験を2018年4月21日以降は中止し、核実験場を廃棄する。
  3. 世界的な核軍縮のために、核実験の全面中止の国際的な努力に合流する。
  4. 威嚇されない限り核兵器を絶対に使用しないし、いかなる場合も核兵器・技術を移転しない。

 ②の「核・ミサイル実験の中止」はニュースではありません。米国が対話開始の条件として要求した案件です。北朝鮮は訪朝した韓国特使の口を通じ、すでにその受け入れを表明しています(「『文在寅の仲人口』を危ぶむ韓国の保守」参照)。

 3月6日、青瓦台(韓国大統領府)は「鄭義溶首席特使の訪朝結果 言論発表」で以下のように発表しています。

・対話が続く間は、北側は追加の核実験と弾道ミサイルの試射など戦略的な挑発の再開はしないことを明らかにした。同時に核兵器はもちろん、在来型の兵器も南側に使わないことを確約した。

核保有国クラブに入りたい

 ②の「核実験場の廃棄」は完全なペテンです。新たな核実験場を別のところに作るのは容易です。北朝鮮が廃棄すると表明したのは豊渓里(プンゲリ)の実験場と思われますが、相次ぐ核実験で坑道が崩落し、使えなくなったと言われています。廃棄せざるを得ない実験場でしょう。

 前例があります。2008年6月27日、北朝鮮は老朽化した寧辺(ニョンビョン)の原子炉の冷却塔を自ら爆破しました。2006年10月の1回目の核実験で世界のまなざしが厳しくなった後のことです。

 米国務省の北朝鮮担当者とともに現場に招待された米CNNや日本のTBS、韓国のMBCなどは、その光景を動画で報じ、北朝鮮が平和路線に転換したかの印象を世界に拡散しました。

 この原子炉はプルトニウムの抽出用でした。北朝鮮は核兵器の素材をプルトニウムからウラニウムに替えており、この原子炉は不要になったと見る専門家もいます。今回の「核実験場の廃棄」宣言も同じ手口――不要品の廃棄を宣伝に使う――です。