化粧した「体制保証の要求」

でも、ボルトン氏やポンペオ氏の起用に加え、シリア空爆で「段階的な妥結」の希望も消えうせた……。

鈴置:その通りです。しかし依然、北朝鮮と韓国は体制の保証を要求するつもりのようです。左派系紙のハンギョレが独自ダネと称して「北朝鮮、非核化の見返りとして5つの案を米国に提示した」(4月13日、日本語版)を報じました。北朝鮮が米国に以下の5つの案を提示したというのです。

  1. 韓国における米国の核戦略資産の撤退
  2. 韓米戦略資産演習の中止
  3. 通常・核兵器による攻撃の放棄
  4. 平和協定の締結
  5. 朝米国交正常化

 この記事は、北朝鮮が本気で非核化を目指しており、米国との妥協を実現するために交渉条件を具体的に提示した――とのニュアンスで書かれています。

 4月27日の南北首脳会談で、金正恩委員長自らがこの5項目を発表するかもしれません。もちろん、これも南北合作のワナです。

 5項目はいずれも北朝鮮の体制を保証するものです。米国の主張する「リビア方式」も受け入れる素振りをする一方で「それには体制維持を保証する必要がある」と言い出す――お化粧をしているけれど、要は時間稼ぎ作戦なのです。

このトリックに米国がひっかかるでしょうか?

鈴置:南北朝鮮の意図があまりにも露骨ですから、騙されないと思います。米国は北朝鮮や韓国よりも、一枚も二枚も上手です。

 米国は米朝首脳会談に応じることで北朝鮮に「リビア方式」を飲ませる場を作った。韓国の仲人口に騙されたフリをして、北朝鮮に最後通牒を突きつけるチャンスを得たのです。

運転台に座っていなかった

韓国が米朝首脳会談をまとめたというのは本当ですか?

鈴置:文在寅政権はそう見せかけています。が、専門家の間では米朝の情報機関――CIAと北朝鮮の偵察総局が密かに接触して合意したという見方が増えてきました。

 米国からそうした情報が漏れています。北朝鮮だって直接、米国の意図を確かめずに首脳会談に乗り出すほど軽率ではないでしょう。

 韓国人は「我々は運転台に座った」と大喜びしました。文在寅政権の宣伝を信じ込み、外交の主導権を握ったと勘違いしたのです。

 でも次第に、その化けの皮が剥がれてきました。これで米朝首脳会談が不発に終われば、韓国の面子は丸つぶれです。

 文在寅大統領は4月27日の南北首脳会談で、トランプ大統領と会うよう金正恩委員長を必死で説得することでしょう。金正恩委員長がどう応えるかは分かりませんが。

次回に続く)

■変更履歴
記事掲載当初、「2003年の湾岸戦争」としていましたが「2003年のイラク戦争」の間違いでした。お詫びして訂正いたします。本文は修正済みです。 [2018/04/17 15:00]
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孤立する韓国、「核武装」に走る

■「朝鮮半島の2つの核」に備えよ

北朝鮮の強引な核開発に危機感を募らせる韓国。
米国が求め続けた「THAAD配備」をようやく受け入れたが、中国の強硬な反対が続く中、実現に至るか予断を許さない。

もはや「二股外交」の失敗が明らかとなった韓国は米中の狭間で孤立感を深める。
「北の核」が現実化する中、目論むのは「自前の核」だ。

目前の朝鮮半島に「2つの核」が生じようとする今、日本にはその覚悟と具体的な対応が求められている。

◆本書オリジナル「朝鮮半島を巡る各国の動き」年表を収録

中国に立ち向かう日本、つき従う韓国』『中国という蟻地獄に落ちた韓国』『「踏み絵」迫る米国 「逆切れ」する韓国』『日本と韓国は「米中代理戦争」を闘う』 『「三面楚歌」にようやく気づいた韓国』『「独り相撲」で転げ落ちた韓国』『「中国の尻馬」にしがみつく韓国』『米中抗争の「捨て駒」にされる韓国』 に続く待望のシリーズ第9弾。2016年10月25日発行。