平和協定はゴールポスト

オバマ大統領は名誉回復のために、北朝鮮とも無理筋の関係改善をしかねないということですね。

鈴置:その通りです。韓国人、ことに保守派が危機感を募らせるのも当然なのです。

朴槿恵(パク・クンヘ)政権はどうするつもりでしょうか。

鈴置:どうしようもありません。米中が足並みを揃えて「皆で集まって、北朝鮮との平和協定も論議しよう」と言っているのです。もう逆らえません。

 政権に近いとされる、中央日報の金永煕(キム・ヨンヒ)国際問題論説委員(大記者)が書いた「米国と中国の談合を警戒する」(3月18日、日本語版)が象徴的です。

  • 韓国の外交当局が韓米・韓中関係がうまくいっていると、ほらを吹いている間に、韓国は2つの強大国が置く将棋盤の駒の身分になっているのではないか。
  • 金正恩(キム・ジョンウン)が狂乱の剣の舞いを踊って私たちまでがゆらゆらと調子を合わせれば、韓国は王毅(中国外相)がつくった平和協定というゴールポストに向かって、米国と中国に引きずられて行く境遇になるだろう。

米中の将棋の駒に

平和協定を警戒していますね。

鈴置:ええ。しかし、これに続く文章――記事の結論が興味深いのです。以下です。

  • 米中の意図を正確に把握して、平和協定は必ず韓国・北朝鮮と米中が署名する2プラス2方式を貫徹しなければならない。

 結局は、警戒すべき平和協定に関し「交渉で我が国が外されないようにしよう」と主張したのです。背景には「我々が何と言おうがどうせ、平和協定は結ばれる」との諦めがあるのです。

 なお、この記事には「将棋の駒」との例えが出てきます。韓国語版(3月17日)では「韓国将棋の歩」です。

 中国共産党の対外威嚇用メディア「環球時報」が2月16日の記事で、韓国を米中の打つ碁の石に例えました。英文版ではチェスのポーン(Pawn)に例えました(「米国から『ピエロ役』を押し付けられた朴槿恵」参照)。

 中国は「お前はプレーヤーではなく『捨て駒』なのだ。偉そうな顔をするな」と韓国に言い渡したのです。それ以降、韓国紙は自虐を込めて「碁石」「駒」という単語を使うようになりました。

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