「キューバ」に昇格?

 2015年、米中を含む国連の常任理事国とドイツは、イランと核合意を結びました。それはイランに核を放棄させるものではなく、核開発に歯止めをかけるものに過ぎません。

 というのに、イランへの経済制裁は解除されました。世界中の政府と企業が貿易や投資の拡大を狙い、イランに乗り込んでいます。

 キューバへは3月20日にオバマ大統領が訪れたばかりです。米大統領としては88年振りの訪問でした。2015年の国交回復に続き、経済制裁の全面解除に向けた動きです。

 「キューバの人権問題は解決していない」と制裁解除に反対する声が米国には根強い。それにもかかわらずオバマ政権はキューバ訪問を決行したのです。残りの任期が1年を切る中での実績作りと見られています。

 リッパート発言を注意深く読んだ韓国人は、こう考えたでしょう。

  • 北朝鮮が核開発を中断したフリをすれば、米国は「対イランと同様に対北制裁をやめよう」と言い出し、キューバとのように国交を正常化するつもりだな。

 ことに、リッパート氏は「単なる大使」ではなく、大統領のアドバイザーであり、側近なのです。その発言は重い。

親中のミャンマーも引き寄せた

確かに、この記事をじっくり読んだ韓国人はぎょっとしたでしょうね。

鈴置:軍事独裁国家として孤立していたミャンマーとも、米国は関係改善を模索しました。2012年、政治犯の釈放や民主化と引き換えに、米国を初めとする西側は一気に制裁を解除しました。

日本の産業界のミャンマーブームも本格化しています。

鈴置:親中国家と見なされていたミャンマーを「こちら側」へと引き込んだのです。中国と勢力圏争いをする米国は、ミャンマーの次に北朝鮮を狙うとの見方が当時からありました(「次は北朝鮮に触手?米国、中国包囲網作りへ全力」参照)。

 オバマ政権の外交政策は同盟国や米国の保守派の間で極めて評判が悪い。「米国は世界の警察官ではない」と演説して世界への関与を急速に薄めました。結果、中東では「イスラム国」(IS)が台頭し、アジアでは中国が、ウクライナではロシアがやりたい放題です。

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