中朝会談を見て手のひら返し

なぜ韓国は突然、態度を変えたのでしょうか。

鈴置:中朝首脳会談がきっかけでした。先ほど指摘したように、この首脳会談で「段階的な解決」がうたわれた。それが明かされたのが3月28日。

 翌3月29日、青瓦台(大統領府)の金宜謙(キム・ウィギョム)報道官は「段階的な解決」に関し論評を避けました。本来なら真っ向から批判すべきところです。

 朝鮮日報は報道官の沈黙も含め、青瓦台の微妙な空気の変化を読み取って「文在寅政権が姿勢を変えるぞ」と報じました。

 先ほど引用した「『ゴルディウスの結び目を断ち切る非核化』と言っていたのに……中朝会談後、後退の兆し」(3月30日、韓国語版)がそれです。

 3月30日には青瓦台の匿名の高官が、記者との会見で以下のように語るに至りました。米国の主張する「一括妥結」をはっきりと否定したのです。

  • 北朝鮮の核問題が25年間続いているが、電源コードを抜けばテレビが消えるように一括妥結宣言をすれば非核化が終わるものではない。検証と核廃棄は順々に踏んでいくしかないのが現実だ。

 発言は中央日報の「青瓦台、『北核解決法』で米と不協和音…『テレビの電源コードを抜くように?不可能』」(3月30日、日本語版)などで読めます。

トランプ大統領が怒るのも当然ですね。

鈴置:だからトランプ大統領は、大筋で合意したはずの米韓FTAの改定も保留する――「もし、北朝鮮の時間稼ぎに協力したら、経済面で報復するぞ」と韓国を脅したのです。

為替操作をやめさせた

報復は効果がありますか?

鈴置:やり方によっては韓国経済を窒息させる――通貨危機に陥れることも可能です。

 まず、米国は韓国を含む各国に対し、鉄鋼とアルミニウムの輸入関税を上げると威嚇しました(「北より先に韓国に『鼻血作戦』を発動する米国」参照)。

 韓国はこの脅しに屈し、3月27日までにFTAの見直しに原則合意。米国製自動車に対する非関税障壁をなくすほか、鉄鋼に関しては関税引き上げ対象から外す見返りに米国への輸出量を減らすと譲歩しました。

 米国政府は、不公正な競争優位を生んできた韓国政府の為替操作をやめさせ、透明性ある説明可能な仕組みを約束させたとも発表しました。

 ホワイトハウスの「President Donald J. Trump is fulfilling his Promise on the U.S.-Korea Free Trade Agreement and on national Security」(3月28日)の最後のくだりです。

  • On a separate track, the Treasury Department is finalizing an understanding with South Korea to avoid practices that provide an unfair competitive advantage.
  • The provisions of the understanding include strong commitments on exchange rate practices, robust transparency and reporting, and a mechanism for accountability.