金正恩委員長は3月25―28日、中国を訪問し、習近平国家主席と会談した(写真:新華社/アフロ)

前回から読む)

 金正恩(キム・ジョンウン)委員長が3月25―28日に中国を訪問し、習近平国家主席と会談した。

「朝鮮半島の非核化」で一致

特別列車に乗っていた北朝鮮の要人は金正恩氏であったことが判明しました。

鈴置:3月28日朝、新華社が報じました。最高指導者に就任して初の外遊です。習近平主席と会談したとも伝えました(日経・電子版「訪中の要人は金正恩氏 習主席と会談 新華社報道」参照)。

 人民網(中国語版)の「習近平同金正恩挙行会談」(3月28日)によると会談で、習近平主席は「朝鮮半島の非核化」を強調。これに対し金正恩委員長も「朝鮮半島の非核化は金日成主席と金正日総書記の遺訓であり、我々の常に変わらぬ立場である」と答えました。

 「北朝鮮の非核化」ではなく「朝鮮半島の非核化」で一致して見せたのがポイントです。後者は北朝鮮だけではなく韓国の非核化も意味します。

まずは在韓米軍撤収

韓国に核兵器は存在するのですか?

鈴置:しません。韓国は核兵器を持たず、米国も1988年前後に戦術核を韓国から撤収済みです。しかし韓国は米国の戦略核で守られている。米国の核の傘に入っているのです。

 北朝鮮はここを突いて「不公平だ。米国の核の傘もやめよ」――つまり「米韓同盟も廃棄せよ」と主張してきました。米朝首脳会談でもそう要求するでしょう(「『文在寅の仲人口』を危ぶむ韓国の保守」参照)。

 なお、中朝間にも軍事同盟は結ばれてはいますが形骸化しており、北朝鮮は中国の核の傘に期待できません。

 話をまとめますと、中朝首脳会談で朝鮮半島の非核化に一致した――つまり、中朝がスクラムを組んで米国に対し、韓国との同盟を破棄するよう要求することを決めたのです。

米韓同盟の廃棄は簡単に実現するのですか?

鈴置:容易ではありません。とりあえずは在韓米軍の縮小、次は撤収、最後に同盟破棄といったシナリオを中朝は描いているでしょう。

 在韓米軍が撤収するだけでも中朝にとっては大きな福音です。戦争が始まれば1時間以内に北京や平壌を攻撃可能な米国の空軍基地が韓国から消えてなくなるのですから。