半島では仲がいい米中

米中は協力的ですね。両国は対立を強めていると思っていました。

鈴置:大枠で言えば対立を強めています。でも、朝鮮半島に関しては「仲がいい」のです。米中には「多大な人的損害を出した朝鮮戦争の失敗を2度と繰り返したくない」との共通認識があるからです。

 1972年にニクソン大統領が周恩来首相に語った、以下の言葉がその象徴です。『ニクソン訪中機密会談録』の100ページから引用します。原文は「Nixon's Trip to China」の「Document 2」の17ページに出てきます。

  • 朝鮮人は、北も南も感情的に衝動的な(emotionally impulsive)人たちです。私たちは、この衝動と闘争的態度が私たち(米中)両国を困らせるような事件を引き起こさないよう影響力を行使することが大切です。

 まさに今、米中は「感情的に衝動的な朝鮮人が米中を困らせることがないよう」談合を始めたのです。

米朝の威嚇合戦

現在、米朝は激しい威嚇合戦を繰り広げています。そんなに簡単に話し合いに移行できるものでしょうか。

鈴置:確かに、米韓は近年まれな大型の合同軍事演習を実施中です。3月7日に始まった米韓合同軍事演習「キー・リゾルブ」と「フォール・イーグル」は4月30日まで続きます。前者が図上演習、後者は野外機動訓練です。

 この中で、米韓は北朝鮮への侵攻を念頭に置いた上陸訓練を3月12日に韓国東海岸の浦項で実施しました。

 金正恩(キム・ジョンウン)第1書記を殺害する特殊作戦の訓練も実施する計画と韓国紙は報じています。もちろん4回目の核実験と、長距離弾道ミサイル実験を実施した北朝鮮への威嚇が目的です。

 一方、米韓演習に対抗し、北朝鮮も3月10日と18日、21日に弾道ミサイルを日本海に向け発射しました。

 3月9日には「核弾頭の小型化」に、3月15日には「弾頭の大気圏再突入」に成功したと発表するなど「核ミサイルの実戦配備も間近」とのイメージを打ち出しました。