先制攻撃を主張する大統領補佐官
では北朝鮮側に、中国の希望に応じて最高指導部を訪中させる必要があるのでしょうか。
鈴置:あります。北朝鮮も米国に騙されるのではないかと疑心暗鬼に陥っているはずです(「『文在寅の仲人口』を危ぶむ韓国の保守」参照)。
米朝首脳会談でトランプ(Donald Trump)大統領が「核・ミサイルを直ちに廃棄せよ」と迫る。拒否したり、しなくとも時間稼ぎに出れば、それを名分に米国が北朝鮮を先制攻撃するかもしれないのです。
ことに3月22日、トランプ大統領は国家安全保障問題担当の大統領補佐官にボルトン(John Bolton)元国連大使を指名しました。同氏は北朝鮮の核が「差し迫った脅威」であると主張し、先制攻撃を主張しています。
2月28日にWSJに寄稿した「The Legal Case for Striking North Korea First」でも先制攻撃の正当性を説いています。最後の1文が以下です。
- It is perfectly legitimate for the United States to respond to the current “necessity” posed by North Korea’s nuclear weapons by striking first.
米国は「何をするか分からない国」になりました。そんな米国に向き合う北朝鮮は「中国の後ろ盾」が欲しくなるのです。
(次回に続く)

■「朝鮮半島の2つの核」に備えよ
北朝鮮の強引な核開発に危機感を募らせる韓国。
米国が求め続けた「THAAD配備」をようやく受け入れたが、中国の強硬な反対が続く中、実現に至るか予断を許さない。
もはや「二股外交」の失敗が明らかとなった韓国は米中の狭間で孤立感を深める。
「北の核」が現実化する中、目論むのは「自前の核」だ。
目前の朝鮮半島に「2つの核」が生じようとする今、日本にはその覚悟と具体的な対応が求められている。
◆本書オリジナル「朝鮮半島を巡る各国の動き」年表を収録
『中国に立ち向かう日本、つき従う韓国』『中国という蟻地獄に落ちた韓国』『「踏み絵」迫る米国 「逆切れ」する韓国』『日本と韓国は「米中代理戦争」を闘う』 『「三面楚歌」にようやく気づいた韓国』『「独り相撲」で転げ落ちた韓国』『「中国の尻馬」にしがみつく韓国』『米中抗争の「捨て駒」にされる韓国』 に続く待望のシリーズ第9弾。2016年10月25日発行。
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