ずうずうしい韓国に嫌気する米国

結局、韓国の新聞は左派系紙から保守系紙まで、米中等距離外交への回帰を訴え始めた、ということですね。

鈴置:その通りです。

等距離外交はそんなに上手くいくものでしょうか。

鈴置:難しいと思います。「等距離」を語るのは簡単ですが、よほどハラを据えないと――中国に立ち向かう覚悟を固めないと、どんどん「怖い中国」の言いなりになってしまいます。過去3年間の朴槿恵外交がまさにそれを証明しています。

 そのうえ、米国から見捨てられる可能性も出てきました。中国に立ち向かわない韓国の面倒を、米国は見なくなるでしょう。もう米国は「困った人がいたら助けに行く世界の警察官」ではないのです。

 ことに韓国に対しては、米国のアジア専門家の多くが嫌気しています。65年前に一度、わが身を犠牲にして助けたら「血盟の関係だ」と勝手に言い出してすがりついてくる。最近に至っては、米国を裏切りながら「助けてくれて当然だ」と色々と要求してくるのです。

 鮮于鉦・論説委員の記事への読者の書き込みにも「卓説だ」との評価がある一方で、観念論だとの趣旨の批判が多々ありました。

 例えば、米中が南シナ海で対立した際「米国との同盟は北朝鮮専用ですから私は関係ありません」と言い張って米中間で中立を維持できるのか、との指摘です。そんな虫のいいことを言えば、米国から見捨てられるだろう、と懸念を表明した人もいました。

「足抜け」が始まる

今後、米国はどう動くと思いますか。

鈴置:韓国を助けないどころか「米韓同盟の希薄化」カードを少しずつ切っていく可能性が高い。その見返りに、中国に「北朝鮮の核」を抑制させる作戦です(「朝鮮半島を巡る米中のカード」参照)。

朝鮮半島を巡る米中のカード
米国 中国
THAAD配備留保 従来より強い対北朝鮮制裁容認
米韓合同軍事演習の中断と一部制裁の解除 北朝鮮の核・ミサイル実験の中断
米朝平和協定(不可侵協定)の締結
 ・米朝国交正常化
 ・在韓米地上軍撤収
 ・在韓米軍撤収
 ・米韓同盟廃棄
北朝鮮の核兵器廃棄
 ・核弾頭の増産中断
 ・弾頭再突入技術の開発中断
 ・弾頭小型化技術の開発中断
 ・保有核兵器の全廃
「朝鮮半島の非核化・中立化」の制度的保障
注)左右の項目は必ずしも連動しない

 米国は、面倒な朝鮮半島から足抜けしていく方向にあります。もちろん一気に米韓同盟の破棄までは行きません。でも、中国と駆け引きを繰り返しながら「半島離れ」を進めていくでしょう。

 東亜日報の3月9日の「不覚をとるな」と訴えた社説。あれは「今から米国の足抜けが始まる」との悲鳴だったのです。

次回に続く)

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「中国の尻馬」にしがみつく韓国

2015年9月3日、朴槿恵大統領は中国・天安門の壇上にいた。米国の反対を振り切り、抗日戦勝70周年記念式典に出席した。

10月16日、オバマ大統領は、南シナ海の軍事基地化を進める中国をともに非難するよう朴大統領に求め、南シナ海に駆逐艦を送った。が、韓国は対中批判を避け、洞ヶ峠を決め込んだ。韓国は中国の「尻馬」にしがみつき、生きることを決意したのだ。

そんな中で浮上した「核武装」論。北朝鮮の核保有に備えつつ、米国の傘に頼れなくなる現実が、彼らを追い立てる。

静かに軋み始めた朝鮮半島を眼前に、日本はどうすべきか。目まぐるしい世界の構造変化を見据え、針路を定める時を迎えた。

中国に立ち向かう日本、つき従う韓国』『中国という蟻地獄に落ちた韓国』『「踏み絵」迫る米国 「逆切れ」する韓国』『日本と韓国は「米中代理戦争」を闘う』 『「三面楚歌」にようやく気づいた韓国』『「独り相撲」で転げ落ちた韓国』に続く待望のシリーズ第7弾。12月15日発行。