日本は一致団結した

韓国人はがっくりきたでしょうね。

鈴置:はっきりと「あってもなくてもいい国」と言われてしまったのですからね。多くの韓国メディアがこの記事を引用しました。

 聯合ニュースの「中国の人民日報の姉妹紙『サムスンも現代も当分苦労する』と脅し」(3月1日、韓国語版)、SBS放送の「『韓国はあってもなくてもいい国』・・・中国、THAAD報復を本格化」(3月1日、動画、開始後1分50秒から)などです。

 それに加え3月2日には「星州のゴルフ場を外科手術的に破壊する」と中国の高級軍人に脅されもしました。

 環球時報の「羅援の『THAADを制する十策』」(3月2日、中国語)という記事です。さすがの韓国人も「変な希望」――「中国に対する甘え」を捨てざるを得ませんでした。

 韓国紙は経済制裁の長期化を見越し「2012年の中国の反日暴動に対し、日本はどう対応したか」を分析する記事を載せるようになりました。各紙とも「日本は慌てず中国のイジメに冷静に対処した」「日本人は一致団結した」と強調しています。

なぜ「一致団結」を強調するのでしょうか。

鈴置:韓国では国論が分裂したからです。朝鮮日報が3月3、4日に実施した世論調査では55.8%が「THAAD配備に賛成」と答えた半面、32.8%が「反対」と回答しました。

文在寅45.8VS安哲秀32、文在寅56.9VS黄教安25.4」(3月6日、韓国語版)で読めます。

韓国にも引導渡す

 3月6日夜、米軍が突然にTHAADの機材を韓国に持ち込み始めました。聯合ニュースは「在韓米軍のTHAAD実戦運営 早ければ4月から」(3月7日、日本語版)で、当初は6-8月だった実戦配備の計画が前倒しになると報じています。

 米軍は京畿道の烏山(オサン)空軍基地で大型輸送機から機材を降ろす光景の写真や動画を公開しました。動画は在韓米軍のサイト「THAAD arrives on the Korean Peninsula」(3月6日、英語)で見ることができます。

 米国は中国に対し「反対しても無駄だ。もう配備を始めたのだから」と言い放ったのです。もちろん韓国に対して「中国の顔色をこれ以上見るな」と引導を渡す意味もあったのでしょう。

 このところ米国は韓国に対し「配備の約束を破るんじゃないぞ」と執拗に念を押してきました(「米国のTHAADを巡る対韓圧力」参照)。

米国のTHAADを巡る対韓圧力
2016年
12月20日 安全保障補佐官に内定のフリン元陸軍中将、訪米した韓国政府高官に「THAAD配備は米韓同盟の強固さの象徴」
2017年
1月31日 訪韓を前にしたマティス国防長官、韓民求国防長官に電話し、THAAD配備を確認
2月2日 マティス国防長官、訪韓し「北朝鮮の核の脅威が最優先課題」と表明、THAAD配備も再確認
3月1日 マクスター安全保障補佐官と金寛鎮・国家安保室長、電話会談し「THAAD配備を再確認」
3月1日 マティス、韓民求の米韓両国防長官、電話で会談しTHAAD配備を再確認
3月6日 米軍、THAADの一部機材を烏山空軍基地に搬入

 突然の装備持ち込みに対し、中国の耿爽報道官は3月7日「我々はTHAAD配備に激しく反対し、必要な措置を激しく取り、自らの安全利益を守るだろう。発生するすべての問題の後始末は、韓国と米国が負担すべきである」と非難しました。

 米国が聞く耳を持つわけもありません。同日、北朝鮮から「(3月6日の弾道弾の発射試験は)在韓米軍を目標とする部隊が担当し、成功した」と威嚇されてもいるのです。

 中国の韓国イジメはますます激しくなるでしょう。韓国がいつまで耐えられるかに注目が集まります。

次回に続く)

■変更履歴
在韓米軍サイトの情報を更新しました[2017/03/09 01:50]
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孤立する韓国、「核武装」に走る

■「朝鮮半島の2つの核」に備えよ

北朝鮮の強引な核開発に危機感を募らせる韓国。
米国が求め続けた「THAAD配備」をようやく受け入れたが、中国の強硬な反対が続く中、実現に至るか予断を許さない。

もはや「二股外交」の失敗が明らかとなった韓国は米中の狭間で孤立感を深める。
「北の核」が現実化する中、目論むのは「自前の核」だ。

目前の朝鮮半島に「2つの核」が生じようとする今、日本にはその覚悟と具体的な対応が求められている。

◆本書オリジナル「朝鮮半島を巡る各国の動き」年表を収録

中国に立ち向かう日本、つき従う韓国』『中国という蟻地獄に落ちた韓国』『「踏み絵」迫る米国 「逆切れ」する韓国』『日本と韓国は「米中代理戦争」を闘う』 『「三面楚歌」にようやく気づいた韓国』『「独り相撲」で転げ落ちた韓国』『「中国の尻馬」にしがみつく韓国』『米中抗争の「捨て駒」にされる韓国』 に続く待望のシリーズ第9弾。10月25日発行。