「中国の良識」に期待

新聞は「どうせよ」と書いたのですか?

鈴置:初めは「中国の良識」に期待する向きもありました。中央日報の「ロッテ、THAAD用地提供・・・総力外交で中国の圧迫防げ」(2月28日、日本語版)が典型です。こんなくだりがあります。読みやすい日本語に直して引用します。

  • Global Timesは評論で「中韓の経済が複雑に絡まっている状況で報復は『両刃の剣』だ」と慎重論を提起した。
  • 「中国に投資し多くの雇用を創出するロッテを圧迫すれば、中国企業と労働者も影響を受けることになる」と賢明な対応を注文した。我々は中国でこうした合理的な声が力を増している状況に注目する。

 もちろん、中国に良識を期待しても無駄でした。2日後、韓国人から頼りにされたGlobal Timesは社説「Dissent can’t sway China over SK sanctions」(3月2日)で、次のように書きました。

  • Although mainstream Chinese society has supported sanctions on South Korea and Lotte Group in particular, some people also hold different views. This is normal. China has already become a diverse society in which it's impossible to have a monolithic view of a single event.
  • However, Chinese society has formed a collective determination to impose sanctions on South Korea, so there is no room for the latter to take any chances.

困るのは韓国だけ

 中国社会の主流が韓国とロッテに対する制裁を支持している。中国は多様な社会だから、一部には異なる意見もある。しかし中国社会は韓国に制裁を下すことで合意している。少数意見が採用される余地はない――という宣告です。

 韓国人が「変な希望」を持たないよう、つまり「中国を甘く見るなよ」と社説で釘を刺したのです。

 実際、中国の対韓制裁が「両刃の剣」になるとは言えません。韓国の全輸出に占める対中輸出は対香港まで含めれば30%前後。一方、中国の対韓輸出は全体の4-5%。中韓が対立し、仮に貿易をすべてやめても中国はさほど困らない。しかし韓国経済は崩壊します。

 興味深いのは、先に引用した社説「SK must face bitter pill over THAAD」(3月1日、英語)の中国語の原文――環球時報の「韓国を怪我させる必要はない。衰弱させればよい」(2月28日)だけにあるくだりです。以下です。

  • 韓国は中国と陸地で接しているわけでもない。先進技術もなく、中国にとって重要な天然資源も持たない。中国の経済発展にとって、韓国は「あってもなくてもいい国」なのだ。

次ページ 日本は一致団結した