サムスンや現代も対象に

中国は「対韓制裁」をいつまで続けるのでしょうか。

鈴置:中国外交部の耿爽報道官は3月3日の記者会見で「関係者が(中国)民衆の声に耳を傾けることを望む」と述べました。

 「民衆の声」を名分に掲げ、在韓米軍へのTHAAD配備を拒否するまで「対韓制裁」を続けるぞ、と脅したのです。

 各地で「韓国製品の不買・打ちこわし運動」が始まったとしきりに中国のネットが伝えます。「民衆の声」のつもりなのでしょう。

 中国共産党の対外威嚇用メディア、Global Timesは社説「SK must face bitter pill over THAAD」(3月1日、英語)で以下のように書きました。

  • If the deployment of THAAD continues, resentment toward Seoul from Chinese consumers will eventually lead to zero exports of South Korean cultural goods to China. It will be the bitter fruit created by Seoul itself.
  • China is the largest market for Samsung and Hyundai, both of which have factories in China. Most of their products sold in China are made in China. Sanctioning them will lead to a complicated outcome. However, Sino-South Korean conflicts keep escalating; the two companies will suffer sooner or later.

 もしこのままTHAADの配備が進むのなら、中国人の「嫌韓」により、韓流ドラマの輸入が皆無になる。韓国の自業自得だ。中国という巨大市場を享受するサムスンや現代(ヒュンデ)も早晩、ひどい目に遭うだろう――というのです。見出し通りに「韓国は苦い薬を飲むことになる」という威嚇です。

泣きを入れる韓国政府

韓国政府はどう対応したのですか?

鈴置:“小声”で中国に抗議しています。中国を怒らせたくはない。しかし国民の手前、何も言わないわけにもいかないからです。

 中央日報の「韓国外交部、中国のTHAAD脅迫に『言動の自制を』」(3月3日、日本語版)が、その空気をよく示しています。以下がポイントです。

  • 趙俊赫(チョ・ジュンヒョク)外交部報道官は3月2日の定例会見で「韓国企業に不利益を与えるべきだとの主張が中国の一部から提起され懸念している。両国関係の発展、そして両国国民の友好増進に資さないような言動は自制することが望ましいと考える」と述べた。

 「韓国企業を苛めたら許さないぞ」と毅然として抗議するのではなく「そんな怖い言い方をしないで」と泣きを入れたのです。

 えらく弱気です。それでも韓国では「前に比べれば強く出た」と評価されています。記事は以下に続きます。

  • 2月28日の定例会見の時に示した政府の公式立場よりもやや強いものだ。同日には趙報道官は「このような発言は両国関係の発展に資するものではない」とだけ触れた。