武力行使か政権転覆か

 米メディアは北朝鮮の核潰しに向けた動きを相次ぎ伝える。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は「米政権、北朝鮮への武力行使も選択肢に」(3月2日、日本語版)で以下のように書いた。英語版(3月1日)の記事は「White House Options on North Korea Include Use of Military Force」だ。 

  • 北朝鮮による核兵器の脅威に対応するため、トランプ米政権が武力行使や政権転覆などの選択肢を検討していることが分かった。政権内部の対北朝鮮戦略の見直し作業に詳しい関係者が明らかにした。
  • 北朝鮮は今年に入り大陸間弾道ミサイルの発射実験を行う準備が整ったと発表した時、トランプ氏はツイッターに「(実験は)行われない!」と投稿した。
  • K・T・マクファーランド(MacFarland)大統領副補佐官(国家安全保障問題担当)は約2週間前、安全保障に関わる政府関係者を集めて北朝鮮への対策を提案するように指示した。
  • 従来の考え方からかけ離れた発想でも構わないと言われたと、ある関係者は明かす。北朝鮮を核保有国として認めることから軍事行動まであらゆる選択肢を検討するよう指示された。
  • マクファーランド氏の狙いは、政権の対北朝鮮政策を根本的に考え直すことだったという。会議に出席した政府関係者らは2月28日、マクファーランド氏に提案を提出した。これらの選択肢は精査されてから大統領に届けられる。

 ニューヨーク・タイムズ(NYT)も「Trump Inherits a Secret Cyberwar Against North Korean Missiles」(3月4日)で「オバマ(Barack Obama)政権はサイバー戦で北朝鮮のミサイル開発の阻止を狙った。トランプ政権もそれを継承する」と報じた。

米韓演習と全人代に注目

 トランプ政権が「北の核」にどう対応するか――。3月6日時点ではまだ決めていないように見える。ただ、結論を下すのに時間はかけないだろう。米国や同盟国にとって残された時間は少ないからだ。

 米国の安保政策に詳しい関係者は「中国の全国人民代表会議(全人代)の閉会(3月15日)後に何らかの動きが出る」と予想する。

 先制攻撃は米国が実施するとしても、北朝鮮の政権交代や朝鮮半島を巡る勢力圏の再確定に関しては中国と話し合う必要がある。全人代開催中は中国の顔を立てて実力行使はしない、というわけだ。

 多くの専門家が3月初めに始まり4月末まで続く米韓合同軍事演習に注目する。この間、米国は空母からステレス戦闘機、戦術・戦略爆撃機を朝鮮半島周辺に集結する。

 この演習中なら、米国の対北先制攻撃も実施しやすいし、北朝鮮の反撃も防ぎやすい。一方、北朝鮮も米韓合同軍事演習に対抗し、何らかの示威行動を起こす可能性が高い。3月6日の弾道ミサイル発射も、そのつもりだろう。

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孤立する韓国、「核武装」に走る

■「朝鮮半島の2つの核」に備えよ

北朝鮮の強引な核開発に危機感を募らせる韓国。
米国が求め続けた「THAAD配備」をようやく受け入れたが、中国の強硬な反対が続く中、実現に至るか予断を許さない。

もはや「二股外交」の失敗が明らかとなった韓国は米中の狭間で孤立感を深める。
「北の核」が現実化する中、目論むのは「自前の核」だ。

目前の朝鮮半島に「2つの核」が生じようとする今、日本にはその覚悟と具体的な対応が求められている。

◆本書オリジナル「朝鮮半島を巡る各国の動き」年表を収録

中国に立ち向かう日本、つき従う韓国』『中国という蟻地獄に落ちた韓国』『「踏み絵」迫る米国 「逆切れ」する韓国』『日本と韓国は「米中代理戦争」を闘う』 『「三面楚歌」にようやく気づいた韓国』『「独り相撲」で転げ落ちた韓国』『「中国の尻馬」にしがみつく韓国』『米中抗争の「捨て駒」にされる韓国』 に続く待望のシリーズ第9弾。10月25日発行。