変質した「名誉革命」

警察のデータでは?

鈴置:警察発表によると、1月7日の集会で「太極旗」が「ろうそく」を抜きました。なお、「ろうそく側」からの抗議でその後、警察は参加者数の発表をやめてしまいました。

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 だから現在の正確なところは分かりません。ただ、現場を見た人によると「太極旗集会」への参加者が急速に増え、少なくとも「ろうそく」と変わらない規模に育っているようです。

 それを左派も脅威に感じたのでしょう。ハンギョレは「怒るほどに明るく・・・『ろうそく』を降ろしてはいけないわけ」(2月10日、韓国語版)で、2016年12月9日に弾劾訴追案が国会を通った後、参加者数が伸び悩んだ「ろうそく集会」へのテコ入れを図りました。

韓国人は「名誉革命」と胸を張っていたのに……(「『名誉革命』と」韓国紙は自賛するのだが」参照)。

鈴置:当初「ろうそく集会」に参加していた人の中には根っからの左派もいました。が、多くは朴大統領の権威主義的な手法に嫌悪を感じた普通の人々でした。

 最近の「ろうそく集会」には「共に民主党」の大統領候補も加わります。次の大統領選挙をにらんでのことです。主催者団体の一部は「THAAD反対」も唱えるようになりました。保守的な人は参加に二の足を踏み始めました。

 一方、「太極旗集会」に参加する人は親・朴槿恵派もいます。が、相当部分は朴大統領のやり方に疑問を感じながらも、左傾化した韓国には絶対に住みたくないという人です。

「星条旗」で「ろうそく」を消す

2つの集会は弾劾に賛成するか否か、だけで対立しているのではないのですね。

鈴置:その通りです。大統領選挙を前に左右対決の場となったのです。象徴的なのは「太極旗集会」に多数の星条旗が登場するようになったことです。

 小さな星条旗と太極旗を重ねて2本持つ人もいれば、巨大な星条旗を掲げる人もいます。「米韓同盟を守ろう」「ろうそく勢力が勝てば米韓同盟がなくなるが、それでもいいのか」との訴えです。

今後の展開は?

鈴置:憲法裁判所の裁判官の1人が3月13日に退任することから、3月上旬に弾劾への審判が下されると見られています。

 左右両派はこれまでの土曜集会に加え、独立運動を記念する「三一節」つまり3月1日にも大量動員をかける方針です。もちろん憲法裁判所への圧力が目的です。

 「名誉革命」と自賛した韓国の政治騒動は、力で物事を決する「クロムウェルの革命」に変わり始めています。

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