株式市場も外国人売り

韓国は1997年に通貨危機に陥りましたね。

鈴置:そのトラウマが深く韓国人の心に残っています。あの危機で多くの人が職と希望を失いました。その後、2008年と2011年にも資本逃避が起きて韓国人は肝を冷やしました。外貨準備に神経質になるのは当然なのです。

前回の「『THAADは核攻撃の対象』と韓国を脅す中国」の最後のくだりによると、株式市場でも外国人の売りが続いているとのことですが。

鈴置:2015年12月初めから外国人が売って機関投資家が買う、という展開が続いています。外国人の売りは決まって1日に2000億ウォン前後――ざっくり言って2億ドル弱。相場を崩さないよう、少しずつ売り抜けている感じです。

 外国人売りは東京市場でも見られる現象です。ただ「安全への逃避」を目指す投資家は、日本株を売っても円は買います。

 一方、韓国の場合は株もウォンも売ります。世界経済が不安定になると、ウォンは危険な資産に区分されるからです。だから外国人の韓国株売りは、資本逃避の先行指標として注目すべきなのです。

地政学リスクが決定打

現在のウォン売りの主因は「北朝鮮」なのですか?

鈴置:先ほど引用した「当局、為替下落に4年5カ月ぶりの『口先介入』……歯止めをかけられるか」(2月19日、韓国語版)も「北朝鮮リスクが決定打」と書いています。以下です。

  • 北朝鮮の長距離ミサイル発射と開城工業団地閉鎖などによる地政学リスクの高まりは、不安定なソウル外為市場を一層揺らす決定打となったのだ。

 2015年10月からのウォン売りの主因は米金利上げでした。しかし年明け以降、市場は米連邦準備理事会(FRB)の心を読んで「利上げは当分の間、見送られる」と見なしました。

 原油価格も底入れの気配が出てきました。中国経済への懸念は続くでしょうが、人民元の対ドルレートを見る限り小康状態にあります。結局、2月以降のウォン売りの主犯は「北朝鮮」なのです。

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