本音では歓迎の「韓国切り捨て」

どんなダメージが出るというのですか。

鈴置:この記事は、米国が以下のような対応に出る可能性があると指摘しました。

  • 南北首脳会談の開催に難色を示す。
  • 防衛分担費の大幅増額を求めてくる。
  • (韓国が米朝間で板挟みになっている)米韓合同軍事演習の再延期に応じない。
  • 韓国に十分な準備がないまま、戦時作戦統制権を早期に返還すると言い出す。

 この4点は一見、ばらばらの話です。が、まとめて言えば米国が「同盟を続けたいのなら言うことを聞け。それが嫌なら今すぐに見捨てるぞ」と踏み絵を迫って来る、ということです。

文在寅大統領はどうするのでしょう?

鈴置:「米国が同盟を打ち切る」と言い出したら「渡りに舟」と乗る可能性があります。そもそもこの政権は「親北反米」政権なのです。大統領以下、政権の中枢部は「米国との同盟は民族の団結を阻害する邪魔物」と考えている。(「『米帝と戦え』と文在寅を焚きつけた習近平」参照)。

 ただ、まだ韓国には親米派が残っています。彼らの死に物狂いの抵抗を考えれば、自分からは同盟打ち切りを言い出しにくい。もし米国が「同盟を打ち切る」方向に動き出せば、願ったりかなったりでしょう。

米国の代替市場を探せ

文在寅大統領は本当に、米韓同盟がなくなってもいいと考えているのでしょうか。

鈴置:聯合ニュースの「文大統領『不合理な保護貿易措置に堂々と、決然と対応』」(2月19日、韓国語版)に興味深いくだりがあります。大統領の発言です。

  • 我が国企業の輸出競争力を増すために(中略)新北方政策と新南方政策の積極的な推進によって、輸出を多様化する機会にせねばならない。

 米国市場から締め出された際の代替市場を準備せよ、との指示です。でも今や、多くの発展途上国が高炉を建設し鉄鋼を国産化。そのうえ、能力増強に動いています。

 輸出先の多角化は口で言うほど簡単ではありません。韓国の製鉄会社だって、必死で販路開拓に取り組んできたのです。

「平昌」は半島の転換点

では、どこに輸出せよ、というのでしょうか。

鈴置:世界で唯一の手つかずの市場が北朝鮮です。南北関係を改善すれば、貿易でも援助の形でも韓国の鉄鋼製品を独占的に流し込める場ができます。

 青瓦台の参謀は「米国市場にこだわらなくても、同族が団結すれば鉄鋼問題など解決できる」と大統領に進言しているのではないかと思われます。

 韓国は米国との同盟を大事にするか、北朝鮮との和解を重視するか、の岐路に立ちました。これまで先鋭化してこなかったこの問題が、一気に表面化したのです。

平昌五輪が朝鮮半島の転換点になるということですね。

鈴置:ええ。「平昌で『米日』VS南北の戦いが始まる」という記事の見出し通りになりそうです。

次回に続く)

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孤立する韓国、「核武装」に走る

■「朝鮮半島の2つの核」に備えよ

北朝鮮の強引な核開発に危機感を募らせる韓国。
米国が求め続けた「THAAD配備」をようやく受け入れたが、中国の強硬な反対が続く中、実現に至るか予断を許さない。

もはや「二股外交」の失敗が明らかとなった韓国は米中の狭間で孤立感を深める。
「北の核」が現実化する中、目論むのは「自前の核」だ。

目前の朝鮮半島に「2つの核」が生じようとする今、日本にはその覚悟と具体的な対応が求められている。

◆本書オリジナル「朝鮮半島を巡る各国の動き」年表を収録

中国に立ち向かう日本、つき従う韓国』『中国という蟻地獄に落ちた韓国』『「踏み絵」迫る米国 「逆切れ」する韓国』『日本と韓国は「米中代理戦争」を闘う』 『「三面楚歌」にようやく気づいた韓国』『「独り相撲」で転げ落ちた韓国』『「中国の尻馬」にしがみつく韓国』『米中抗争の「捨て駒」にされる韓国』 に続く待望のシリーズ第9弾。2016年10月25日発行。