一転、対米強硬策に

南北首脳会談は開かれるのですか?

鈴置:まだ、分かりません。ただ、注目すべき動きがありました。2月19日、前日の発言から一転して文在寅大統領が米国に強気で臨む姿勢を打ち出しました。

 「米国の輸入制限案に対しWTO(世界貿易機関)への提訴など決然と対応する」と述べたのです。聯合ニュースの「米の輸入制限に決然と対応 WTO提訴も=文大統領」(2月19日、日本語版)などが報じました。

 聯合ニュースの「青瓦台『安保と通商の論理は異なる……韓米FTAに積極対応を示唆』」(2月19日、韓国語版)によると、青瓦台(大統領府)高官が「安保問題と通商交渉は切り離して処理する、というのが文大統領の考え」と説明しました。

 文在寅政権の「決然とした対応」と「安保と通商の分離」に、韓国の保守からは不安の声があがりました。

なぜでしょう?

鈴置:米国と全面衝突しかねないからです。平時なら通商面で米国と対立しても問題はない。しかし安保面で米国と関係が相当に悪化している今、通商で強硬策に出れば、米国も安保、通商両面で強い手を打ってくるだろう、との懸念です。

虫のいい「安保・通商」分離案

だから「安保と通商を切り離す」のではないですか?

鈴置:それは韓国の勝手な理屈です。米国が「切り離し」に応じる保証はありません。朝鮮日報の趙儀俊(チョウ・ウィジュン)ワシントン特派員とアン・ジュンヨン記者は「青瓦台は『安保と通商は別物』と言うが……米国もそう考えるだろうか」(2月20日、韓国語版)で、その点を追及しました。

  • 韓米通商摩擦が朝鮮半島を巡る安全保障問題に燃え移るとの懸念が高まる。大統領府は「安保と通商は別物」という考えだ。
  • だが、韓国の北朝鮮政策に対する米国の懸念に、通商摩擦によるしこりが加わり、両国の安全保障問題にも何らかの形でダメージを受けるしかないとの観測である。

 日本に対しても韓国はしばしば「歴史問題と経済協力の分離」を主張します。「慰安婦問題では日本が言うことを聞け。経済面では両国が協力して通貨スワップを結ぼう――要は、ドルを貸せ」という理屈です。

 しかし、外交音痴の日本だって――少なくとも安倍政権は、そんな虫のいい話には応じないではないですか。