5月の党大会で「実績」誇示

今回実験したのは長距離弾道ミサイルだから、韓国と日本にはあまり関係ない、という人もいますが。

鈴置:日韓は北朝鮮がすでに保有している短・中距離弾道ミサイルの射程に入っています。確かに、今回の実験により直接的な脅威が増すわけではありません。

 ただ、韓国はある意味でそれ以上の脅威――米韓同盟への信頼性が大きく減じるという大問題に直面するのです。

 北朝鮮は「米国まで届く核」をかざして、日本に対しても強腰で挑むようになる可能性が大です。

北朝鮮の労働党大会との関係は?

鈴置:労働党は5月に党大会を開きます。36年ぶりの党大会でして、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の権力基盤を固めるのが目的です。

 30歳代前半の若い指導者だけに実績が必要です。当然、4回目の核実験と合わせ今回のミサイル実験を、第1書記の権威付けに使います。

 「米国に届く核」を完成し、米国と対等に付き合えるようになった――と国民や韓国の親北派に向け、宣伝に乗り出すでしょう。

韓国は軍事行動に出るか?

韓国はどう出ますか?

鈴置:手の打ちようがありません。中国はもちろん米国も、軍事力まで使って北から核ミサイルを取り上げてはくれません。

 経済制裁も、北朝鮮との輸出入を100%断つといった完全なものなら効果があります。が、原油の90%以上を供給するなど最大の貿易相手国である中国が消極的です。

韓国自身が軍事力を使う手があるのでは?

鈴置:韓国人にそこまでハラは固まっていないようです。軍事行動に出れば、第2次朝鮮戦争になりかねませんからね。

 もちろん保守の中には、今春実施する米韓合同演習の際に一気に北進し北朝鮮を吸収合併するしかない――と主張する人もいます。戦争を始めてしまえば、米軍も韓国を助けざるを得ない、と説明してくれます。

 あるいは金正恩第1書記を暗殺しよう、と主張する人もいます。ただ、常に隠密行動をするリーダーの暗殺は、口で言うほど易しくはありません。

 そもそも軍事行動を唱える韓国人も、朴槿恵(パク・クンヘ)政権にはそんな思い切った手は打てないだろうとあきらめ顔です。大統領は「国民の目を意識して発言は強気一本やり。だが実は、度胸はない」と言うのです。

 せいぜい、対北支援のトンネル機関、開城工業団地の一時閉鎖程度の「強硬策」しか打てないだろうと見る韓国の専門家が多い。

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