日本の核は絶対許さない

それにしてもなぜ、嫌いな日本と「核武装で共闘しよう」との意見が出るのでしょうか。

鈴置:韓国は1970年代に核武装計画を米国に潰されたからです。当時、それを率いたのは朴正煕(パク・チョンヒ)大統領。現在の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領のお父さんです。

 そのため、韓国人は日本人とは異なった形の核コンプレックスを持つようになりました。「核兵器を持とうとしても、どうせ米国に潰される」との思いです。

 だから核武装を目指すには宿敵たる日本と組んで――もっとはっきり言えば、日本を風よけにして――との発想が生まれるのです。

 もっとも、ニクソン訪中の地ならしをしたキッシンジャー(Henry Kissinger)大統領補佐官の周恩来首相に対する発言(1971年10月)を見れば、日本だって危険な存在と見なされていたことが分かります。

 「NEGOTIATING U.S.-CHINESE RAPPROCHEMENT」のDocument13から要約して引用します。

  • 日本人は文化的な均質性により、他者に対する配慮ができない。日本を強くすれば、われわれが望む方向に進むと考える人もいるが、とてもナイーヴな発想だ(23ページ)。
  • もし我々が日本を解き放ち、自らの足で立つようにすれば、日中間の緊張は高まるだろう。そうなれば中国も米国も共に被害を受けることになる(24ページ)。
  • 我々は日本の核武装に反対している。仮に、こうしたことに権限のない役人が何を言おうともだ。もっとも、これまで誰かがそんなことは言ったわけではないが(24―25ページ)。

日本の復讐を恐れる

日本に核武装など絶対にさせない、との決意が伝わってきますね。

鈴置:これは45年も前の話ですし、キッシンジャー氏の対日警戒論には独特のものがあります。ただ、今でも米国人の「日本の核」に対する警戒心が強いのは変わりありません。

 核兵器を持たせたら米国に復讐してくるとの恐れもあるでしょうし、核で自信を付けた日本が中国と紛争を起こし米国が巻き込まれるかもしれない、との懸念もあるでしょう。

 だから、日本と一緒になって“核武装クラブ”に強引に入ろうとする韓国人の思惑が裏目に出る可能性もあります。そもそも日本が、韓国発の「日韓同時核武装論」に乗る可能性は極めて低いと思います。