トランプは冷血漢だ

しょげかえっていた韓国人が突然、舞い上がったのですね。

鈴置:「舞い上がる韓国人」に危機感を抱く韓国人もわずかながらいます。知米派です。朝鮮日報の趙儀俊(チョウ・ウィジュン)ワシントン特派員は「豹変するトランプに気を付けろ」と書きました。 「トランプの南北対話に関する本音」(1月8日、韓国語版)を訳します。

  • トランプ大統領はNYT(ニューヨーク・タイムズ)やWP(ワシントン・ポスト)を「フェイクニュース・メディア」と激しく攻撃する。が、一方でその記者に対しては優しく名前を呼び、時には直接電話で自らの考えを伝えたりするという。目的の達成に必要なら、いつでも敵と同衾できるのだ。
  • あるシンクタンクに属する専門家は「トランプ大統領は実業家出身。プラス思考で、勝つのは自分の側と考える性格だ」としたうえ「平昌五輪をテコに使うため今は対話派の手を上げているが、結果が気に入らなければ一瞬にして強硬派に力を与えるだろう」と予想している。
  • 青瓦台(大統領府)は平昌五輪を通じ、北朝鮮を対話の場に引き出し、それにトランプ大統領の支持を得たと喜んでいるのかもしれない。しかしトランプ大統領は朝鮮半島の非核化という目標に集中するだけで、必要なら手段をいつでも変えられる冷血漢だ。
  • 青瓦台による対話の推進が結果的に平和の定着どころか、逆に米国の軍事行動を早める結果をもたらす恐れさえある。

数カ月は見守る

「逆に軍事行動を早める」とは?

鈴置:文在寅大統領はトランプ大統領に「合同演習を延期すれば北朝鮮は対話に出てくる。その場を使い、非核化を話し合う米朝対話を実現するよう努力する」と説いて、延期を受け入れてもらったと思われます。

 もちろん、米政府は文在寅政権を信用していません。北朝鮮の言いなりになり、国連制裁を破ってカネやモノを渡したり、あるいは南北対話を引き延ばして北朝鮮に核開発の時間稼ぎをさせるのではないかと疑っています。

 1月4日の米韓電話協議で合同軍事演習の延期を決めた後、ホワイトハウスはそれに関する発表文で「過去の過ちを繰り返さぬため、北朝鮮に対する最大限の圧力を続けることで両首脳は合意した」とクギを刺しています。

  • The two leaders agreed to continue the campaign of maximum pressure against North Korea and to not repeat mistakes of the past.

 これだけ念を押されているのです。もし「文在寅の裏切り」が明らかになれば、トランプ大統領が突如、北朝鮮の空爆に出かねない――と、趙儀俊特派員ならずとも考えます。

 なお米国は「米朝対話」、あるいは「非核化要求」に対する「回答期限」を、パラリンピックが終わる3月18日頃に設定しているフシがあります。

 トランプ大統領が1月10日、記者団に「数カ月待つ」と語ったからです。ロイターの「Trump, on possibility of North Korea talks, says: 'Who knows where it leads?'」から引用します。

  • Hopefully it will lead to success for the world, not just for our country, but for the world. And we’ll be seeing over the next number of weeks and months what happens.

 南北閣僚級会談の結果に関し、文在寅大統領と電話で話し合った直後の会見です。記者の質問は当然、南北会談が米朝会談につながるのか、に集中しました。

 トランプ大統領は「それが世界のために成功することを望む。今後、数週間――数カ月の間に何が起こるか見守ろう」と答えたのです。