日本の扇動に乗るな

韓国は慰安婦合意を初めから守る気などなかったのですね。

鈴置:その通りです。2017年1月6日に日本が「4つの対韓措置」をとって以降、以下の説明が広まっています。

■日本の「慰安婦像」への対抗措置
・長嶺安政・駐韓大使と森本康敬・釜山総領事の一時帰国
・通貨スワップ再開に向けた協議の中断
・次官級による日韓ハイレベル経済協議の延期
・釜山総領事館員の釜山市関連行事への参加見合わせ

  • 韓国では朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が国会で弾劾され職務停止処分となった。今は大統領の権限代行しかいないので、韓国政府は釜山の慰安婦像設置に適切な処理がとれなかった。

 でも、これは韓国側の言い訳に過ぎません。さきほど言いましたように、韓国政府はそもそも合意を本気で守る気はなかった。

 朴大統領が「少女像(慰安婦像)の撤去など、合意の中で一切言及されていない問題だ。(日本は)そんなことで扇動してはならない」と公言していたからです。

「一切言及されていない」のですか?

鈴置:完全に事実に反します。慰安婦合意に関する尹炳世(ユン・ビョンセ)外相の発表に以下のくだりがあります。日本の外務省の発表(日本語)でも韓国の外交部の発表(韓国語)でも読めます。

  • 韓国政府は、日本政府が在韓国日本大使館前の少女像に対し、公館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを認知し、韓国政府としても、可能な対応方向について関連団体との協議を行う等を通じて、適切に解決されるよう努力する。

声が大きい者が勝つ

なぜ、こんなにはっきりと言及しているのに「一切言及されていない」と主張するのですか?

鈴置:朴大統領がそう説明を受けていたのか、そう思い込んだのか、あるいは「撤去の約束」に対し韓国で批判が高まったので居直ることにしたのか――。それは分かりません。

居直ると言っても、これだけはっきりと約束したのですから……。

鈴置:韓国では嘘でも大声で主張すれば真実になるのです。声の大きい者が勝つのです。ことに大統領が「約束などしていない」と言えば、下僚は「日本や米国が怒ってくるだろうな」と思っても、従うしかありません。

 ただその意味では、朴大統領の不在が続く現在の方が、役人は慰安婦像の撤去に動きやすくなったはずです。大統領から叱責される危険性は減りましたからね。