韓国の国論は分裂へ
ではもし、中国が「米韓同盟をやめるのなら北朝鮮の核を廃棄させる」と言い出したら、韓国はどうするのでしょうか。
鈴置:国論が分裂するでしょう。まず、趙甲済氏ら一部の親米保守は――反中保守と呼んでもいいと思いますが、彼らは核武装しつつも米韓同盟を維持する方策を模索すると思います(「『核武装中立』を覚悟する韓国」参照)。
それが不可能なら「核武装中立」もやむを得ない、とは考えているでしょうが。ともかくも、中国の属国に戻るのはごめんだと思う人がいます。米国との同盟を打ち切って中立化すれば、中国化してしまうとの懸念があるのです。
一方、保守の中にも中国側に接近することで、北の核を解決してもらおうと考える人がいます。彼らは米韓同盟破棄を認める可能性があります。当然、反米色の濃い左派の中からも、それに賛同する人が出るでしょう。
朝鮮半島全体が中立化
まさに、北の核実験を引き金に南北朝鮮がともに中立化すると予測した近未来小説『朝鮮半島201Z年』ですね。
鈴置:各国の利害を考えて“国際政治のチェス”をやると、そうなってしまうのです。この小説では中国が「朝鮮半島の非核化と中立化」を言い出し、米国がそれをのみます。北朝鮮の核の脅威が深刻になってくると現実世界の米国も、それをのみかねません。
北朝鮮の4回目の核実験は、もちろんそれだけで東北アジアを揺るがす大ニュースです。新たな核武装国が登場するのですから。
でも、その影響が韓国から米国や日本へと、広がっていくことを見落としてはなりません。
(次回に続く)
【早読み 深読み 朝鮮半島】「韓国の核」シリーズ
●一歩踏み出した韓国の核武装論
今度は「原子力潜水艦を持とう」
●日本を「一撃」できる国になりたい
「日韓併合」をバネに核武装
●核武装して“奴隷根性”を捨てよう
親米派も「今度こそ、米国の脅しは聞かない」
●「核武装中立」を覚悟する韓国
それは、中国にとっても悪くない
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