3分の2が核武装に賛成した

 2013年2月の北朝鮮の3回目の核実験の後の世論調査では、約3分の2の韓国人が核武装に賛成しています(「ついに『核武装』を訴えた韓国の最大手紙」参照)。

 今回聞けば、それ以上の割合の韓国人が賛成すると思われます。3回目の核実験の直後、韓国メディアはほとんど核武装に触れませんでした。一方、先ほど見たように、今回は保守メディアがはっきりと主張しています。

 これから見ても、趙甲済氏らは本気でしょう。核武装するだけではなく、この際、一気に北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)体制を潰してしまおう、とも主張しています。

今はブラフの部分があるにしろ、本気になりかねない韓国の核武装論。米国や中国はこれにどう対応するのでしょうか。

鈴置:米国は韓国や日本に対し、改めて「核の傘」を保障しました。「(1月6日に)カーター米国防長官は韓国に対する米国の堅固な防衛公約を再確認した。米国の公約には米国の拡大抑止力のあらゆる手段が含まれる」と、韓民求(ハン・ミング)国防相が1月7日に表明しました。

 聯合ニュースの「米国が韓国防衛の公約を再確認 共同報道文発表」(1月7日、日本語版)が報じています。

 同日にはオバマ大統領も朴槿恵(パク・クンヘ)大統領に電話し「韓国への防衛公約は揺るぎない」と述べたうえ、北朝鮮への「包括的制裁」も約束しました。

 ただ、米国がいくら「包括的制裁」を約束しても、それに中国が参加しない限り効果は薄いのです。米国も軍事的な制裁までするつもりはなく結局、経済制裁が軸になります。

 が、過去の度重なる経済制裁により、北朝鮮経済は日本を初めとする西側諸国への依存度を急激に下げ――つまり、中国に全面的に依存するようになってしまったからです。

本気で制裁しない中国

中国は北に核を放棄させることができるほどに強力な経済制裁を実施しますか?

鈴置:しないと思います。そんなに強力な制裁をかければ、北朝鮮の体制が崩壊しかねないからです。中国にとって北朝鮮は米国との緩衝地帯なのです。そんな貴重な地帯を容易に手放すわけがありません。

 中国が「北朝鮮消滅」のリスクを冒すのは、米韓同盟が破棄されるか最低限、在韓米軍が完全に撤収されることが保障された時と思います。

 逆に言えば、中国は「北朝鮮の核武装」を「米韓同盟破棄」へのテコに利用する可能性があります。

 北の核廃棄を要求する米国や韓国、あるいは日本に対し中国は「韓国が米国の核の傘によって守られているから北朝鮮も核を持とうとするのだ」と反論するのです。

 これまで「北朝鮮の非核化」を求める韓国に対し、中国の答えは常に「朝鮮半島の非核化」でした。韓国にさしかけられた米国の核の傘に対し、拒否権を発動するための布石を敷いてきたのです。

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