中国への説得材料にも

 東亜日報は1月7日の社説「北の4回目の核実験、朴大統領は米中から『最終的な制裁』を引き出せ」で「核なしで大丈夫なのか」との間接的な表現ながら核保有を検討すべきと主張しました。

  • 朴大統領は増強された北の核の脅威に対し、核なしで対処できるのか、検討する必要がある。米国の核の傘の公約が確固としたものだとしても、有事の際に即座に効果があるとは壮語できない。

 中央日報はやや遅れて1月10日の社説「核実験の対北朝鮮制裁、中国は答えよ」(中央SUNDAY第461号、日本語版)で「核武装」に触れました。

 ただ、同紙の意見というよりも「北朝鮮に対する影響力が最も大きい中国がその核を抑え込むべきだ」と主張する中で「北の核を放っておくと韓国が核武装し、周辺国(日本)も追従するよ」と、中国への説得材料として言及するに留めています。以下です。

  • 習慣のように繰り返される北朝鮮の「核挑発」にブレーキをかけるためには中国が断固とした姿勢を見せなくてはならない。今回も口頭での警告程度にとどめてやり過ごしてしまうなら、中国が期待する韓半島非核化は遠ざかるだろう。
  • そうでなくても今回の北朝鮮の核実験により韓国では保守層を中心に「韓国も自衛次元の核開発に乗り出さざるを得ないのではないか」との主張が出ている状況だ。周辺国の「核ドミノ」が現実化するならば、北東アジアの平和を脅かす災いになる可能性が大きい。

 濃淡はありますが、保守系紙はほぼ「核武装論」を社説で訴えるか、言及したのです。半面、左派系紙は一切それに触れていません。

国民投票で決めよう

保守系紙は本気なのでしょうか。

鈴置:米国や中国に対し「我が国は必死なのだ。核放棄に向け北への圧力を全力でかけてくれないと、核武装しちゃうよ」と脅す部分も相当にあると思います。例えば、中央日報の社説はブラフとして核武装を使う臭いが濃い。

 ただ、国際社会が実効性ある対北朝鮮制裁に乗り出さないと、韓国の国論は次第に「本気の核武装論」に傾いていくと思います。

 韓国各紙が指摘する通り、米国の核の傘がどれだけ有効か韓国人は確信が持てないからです。北朝鮮が米国まで届くミサイルを持ったと思われる今、米国人が核ミサイルを撃たれるリスクを冒してまで韓国を守ってくれるのか、韓国人の疑いが増しているのです。

核武装論をいち早く唱えていた親米保守の趙甲済(チョ・カプチェ)氏は4回目の実験後、どう主張していますか?

鈴置:ご本人の記事はもちろん、保守派の核武装論など対北強硬論で「趙甲済ドットコム」(韓国語)は溢れ返っています。

 さらに趙甲済氏らが率いる保守団体、国民運動本部は1月10日に「自衛的核武装をすべきか、国民投票で決めよう」との声明を発表しました。

 この声明は「2016年4月の総選挙の際に、自衛的な核武装に乗り出すかを問う国民投票を実施しよう」と呼びかけるなど、具体的な行動指針を打ち出しました。

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