【結論】
「事故物件を借りちゃった人の末路」から言えること
不動産(「お金」の一種)所有の一大リスク…それは事故物件化
本編はあくまでフィクションですので、主人公である沼田遼の行動(例:出会って間もない亡霊に誘われて事故物件に引っ越してくること)や、ホラー映画風のエンディングなど、荒唐無稽な部分もあるかと思います。
個人的には心霊現象の有無にも興味がないわけではありませんが、書籍『宝くじで1億円当たった人の末路』の著者として本章で言いたいのは、不動産所有のリスクについてです。
持ち家のリスクにはいくつかありますが、中でも大きいのが「災害による資産価値の急落」です。
そして実はこれからの時代、災害に加えてもう一つ、不動産価値が急落するある要因が社会全体で顕在化していくことが確実になっています。それは、事故物件化です。
自殺や殺人、火災などで人が死亡したなど、心理的瑕疵(心理的な欠陥)がある部屋の貸し主(大家)は、借り主(入居者)に対して、その事実を告知する義務があります。それに伴い、投資用マンションなどの場合、家賃を下げざるを得ず、資産価値は劣化します。
持ち家にしても、事故物件と認定されれば、手放す際に購入価格以上の金額で売るのは難しいでしょう。
「自殺や殺人なんてめったに起きない」と思う方もいるかもしれませんが、不動産関係者の中には、「殺人」「自殺」「死者を出した火災」などに加えて、「孤独死」が発生した部屋を事故物件と定義するような動きがあります。
高齢化が急速に進んでいる上、2040年には単身世帯が約4割に達すると言われる孤立社会ニッポン。今後、孤独死の数は増えこそすれ減ることはなく、それに伴い事故物件も増えるでしょう(ならば、孤独死の可能性が高い高齢者には家を貸さなければいいのではとの指摘もあると思いますが、それをやってしまうと不動産ビジネスが、これからの日本では成立しなくなるでしょう)。
今後の日本では、事故物件は増えざるを得ない。
事故を黙っていてもやがてばれる
では、事故が起きても黙っているというのはどうでしょう。事故物件の告知義務は曖昧な部分もあって、例えば事故が起きて入居者が次々に代わっていった場合、何人目まで告知する義務があるのか、法令で定められているわけではありません。
それを利用し、2人目以降の入居者には、何ごともなかったかのように通常通りの家賃で入居者を募集するのです。
結論から言えば、ネット社会の今では、こうした手も使えなくなりました。事故物件公示サイトというものが存在するからです。このマンガの原作となった書籍『宝くじで1億円当たった人の末路』にも登場した事故物件専門家、大島てるさんの事故物件公示サイト「大島てる」がそれです。
このサイトの特徴は、日本全国のみならず外国の事故物件も対象としていることに加え、情報が正確であることにあります(長期にわたって間違った情報が掲載され続けることはありません)。そのカギは、情報を持つ人が誰でも自由に書き込める「投稿制」にあります。
事故物件情報というのはネガティブ情報ですから、投稿者の書き込みが間違っていれば、その物件を管理している不動産業者や大家から直ちに修正が入ります。
また、殺人事件が発生してマンション名が報道されてしまった分譲集合住宅のオーナーなども、「事故が起きたのは自分の部屋ではない(自分の部屋は資産価値が落ちていない)」ことを主張しようと、事故が起こった部屋の番号まで含めた詳細な情報を積極的に書き込みます。
こうして事故物件公示サイトは、関係者の思惑の下、常にアップデートされ続け、正確な情報を発信し続けるのです。
ネット社会では、事故物件の情報は隠し通せません。
そういうわけで、2章にわたって不動産を扱いましたが、持ち家にせよ投資用物件にせよ、普通の人が無理をして不動産という資産を持つことには、とにかく様々なリスクがあることは十分お分かりいただけたと思います。
大半は科学で説明できるけど……
なお、気になる方もいると思われますので、本編の内容の真偽(事故物件における心霊現象の有無)にも触れておきますと、主人公・沼田の友人、大山雄大による「事故が連鎖するいわゆる“呪いの物件”(事故連鎖物件)は存在はするが、その理由は心霊現象ではなく、合理的・科学的な原因がある」という主張は、実は前出の大島てるさんの考え方で、私も賛同しています。
ただ、大島さんに言わせると、これまで見てきた数多くの事故連鎖物件のうち1件だけ、どうしても科学的に説明がつかないケースがあるそうです。その内容はぜひ、本書『マンガ 宝くじで1億円当たった人の末路』をご覧ください。
書籍『マンガ 宝くじで1億円あたった人の末路』では、今回ご紹介した「事故物件借りちゃった人」以外にも、「キラキラネームの人」「友達ゼロの人」といったやらかしてしまった人たちの末路、さらには「電車で『中ほど』まで進まない人」や「外国人観光客が嫌いな人」など、あなたの身近にある気になる末路まで、厳選した10の末路を収録しています。
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