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 また、圧倒されたのは、安定性。小さな機体にもかかわらず、着陸時に機長がマニュアルモードで操縦桿を操作しても、横風の影響や振動などを全く感じることなく、レールの上を飛んでいるかのように滑走路を目指し、下降します。

 機長も「オートパイロットをOFFにしても、これだけ安定しているのがホンダジェットの特徴なんだ。驚くよね」と話していました。

 着陸のための減速は主翼のフラップだけでなく、F1カーに搭載されているような尾翼下の「エアブレーキ」でも行うため、とてもスムーズです。目的地の空港の近くまで速い速度で巡行し、一気に減速して着陸できるので、飛行時間の短縮にも役立ちます。

 そしてなんといっても、この機体デザインの美しさ。ほかの小型飛行機では感じることができません。流線型であるだけでなく、イルカなど海の動物のような筋肉質な立体的曲線と、筋の通った鼻先、そして翼に上にあるエンジン、そのすべてのバランスが美しいのです。

 ちなみに、国内1号機として選んだ機体カラーは新色の「Ice Blue」です。

日本の「ジェネラル・アビエーション」

 私は今回、日本初の個人所有オーナーになるにあたり、日本では個人所有のジェット機を日常の移動で使うような文化も仕組みもルールもないという壁にぶつかりました。飛行機を買ったとしても、日常使いできないのです。

 「General Aviation(ジェネラル・アビエーション)」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。私たちが普段乗っている商業旅客機の逆で、一般個人が所有する飛行機及び運行の総称です。アメリカやヨーロッパでは当たり前のように個人が飛行機を所有し、空での移動を生活に活用しています。一方、日本には「General Aviation」文化が存在しないがゆえに、飛行機を置く場所を見つけることも、離発着手続きも、パイロットの養成も、非常に困難です。私がホンダジェットの購入を決めたのは、日本の「General Aviation」をオープンにしていきたいと強く思ったためでもあります。

 私自身は仕事であるDrone Fundを通して、「ドローン・エアモビリティ前提社会」の構築を目指しています。東京や世界の空を、たくさんの自動運転ドローンや空飛ぶクルマが、当たり前のように飛び交う近未来社会です。10年以内に実現させます。

 ホンダジェットのような小型航空機による「General Aviation」が普及し、さらに空飛ぶクルマが実現すると、日本全体が一つの都市圏になります。都市間移動に使うホンダジェットのような「リージョナルモビリティ」、都市内や地域の中での移動に使う「ローカル・アンド・アーバンモビリティ」が普及すると、日本中の全ての「点」と「点」を空でつなげることができ、個人が最短最速で移動できる未来社会が実現するのです。

 世界最初の国際定期航空郵便輸送が始まったのは1918年。
 旅客輸送専用に作られた航空機が初飛行したのは1919年。
 日本の中島式四型6号機が完全な飛行に成功したのも1919年です。

 それから100年後の2018年に、日本のホンダジェット国内1号機が実現しました。2018年12月20日は、日本の「空の移動革命Day1」だと確信しています。新しい経済、新しい社会をみなさんと加速させていきたいと思っています。

 最後にホンダエアクラフトカンパニーの藤野社長をはじめとした開発チーム、そして全ての関係者の皆様に、日本1号機納入のお祝いと貴重なファーストオーナーの機会を頂けたことへの御礼申し上げます。ありがとうございました。