EV時代でも個性を持ったクルマは造れる
満充電で出発して、高速やワインディンク区間を日本の法定速度よりはかなり速いスピードで約200kmを走り終えた時点で、残りの航続可能距離は113km、バッテリー残量は38%と表示されていた。試乗会場には150kWの充電施設が用意されており、昼食の合間に数十台あった試乗車のすべてが約80%まで充電されていた。日本でもテスラが独自の急速充電施設スーパーチャージャーステーションの整備を進めているが、こうした大容量EVへの対応は、メーカー単独でやるよりも欧州のIONITYのようなカタチで進めるのが効率的だろう。アウディによるとe-tronの国内導入に向けて、ディーラーへのDC急速充電器の設置を進めていくという。
充電対応という大きな課題はあるものの、アウディ初のEV「e-tron」の完成度の高さは相当なものだった。特にクワトロの制御はアウディならではのものだ。砂漠のサラサラの砂を瞬時にグリップする感覚はとても新鮮だった。これまでにもアウディやポルシェのエンジニアに「エンジン音のしないEVの時代になるとクルマの個性が失われるのではないか」という質問を何度も浴びせてきた。しかし、それはどうやら杞憂だったようだ。

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