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いよいよe-tronに試乗する

 インタビューを終えて、試乗に向かうとe-tronのボディサイドにニョキッとはえたバーチャルエクステリアミラーが目に飛び込んできた。運転席に座るとドアインナーハンドルの上部に7インチOLEDディスプレイが収まっていて、それがサイドミラーの代わりをするというわけだ。ディスプレイは高精細だし、描写としては問題ないが慣れるまでに少し時間がかかった。

カメラを内蔵したバーチャルエクステリアミラー。室内には7インチOLEDディスプレイが備わる。

 シフトをDレンジに入れてブレーキを離してもクリープはしない。電気を節約するための設定という。運転モードは、7つのプロファイル(オート、コンフォート、ダイナミック、エフィシェンシー、インディビジュアル、オールロード、オンロード)から選択が可能で車高調整機能を備えたエアサスペンションは、モードに応じてショックアブソーバーを自動制御してくれる。とても21インチタイヤの乗り心地とは思えないほど快適だ。

 高速道路を走ると静粛性のよさが際立つ。アブダビの高速道路はときに140km/hや160km/hの制限速度区間があるのだが、どの速度域でも乗り合わせた大人4人が普通に会話を楽しむことができた。静かすぎて加速感がないのだが、160km/hなどあっと言う間だ。バッテリー保護のため制限速度は200km/hに抑えられていた。

 アウトバーンのある国のクルマだけに、モーターやバッテリーなどの熱マネジメントは徹底している。4系統の冷却システムをもち、40mにも及ぶ冷却ラインに22リットルものクーラントが循環しているという。冷間時のスタートや真夏の高速巡航など、さまざまな環境下でバッテリーを常時25~35℃に保つ工夫がなされている。フル加速を何度も繰り返せない、バッテリーが熱をもつと急速充電ができないといったEVの弱点を克服している点は、アウディならではのアドバンテージと言えるだろう。

床下に収まる容量95kWh、36のセルモジュールからなるバッテリー。衝突時の保護のためアルミ押し出し材の強固なフレームに覆われている。重量はなんと700kg! ボディ剛性アップにも貢献している。

 山岳地域のワインディング区間では、ダイナミックモードを選択してブーストモードで急勾配の上り坂をいっきに駆け上がった。まあとにかく速い。「50:50の重量配分にこだわって、リアアクスルをメインにトルク配分しているため、スポーツカーのような挙動が味わえます」と先のクリスチャン・ヒア氏も話していたが、およそ2.5トンもあるSUVとは思えないほどきれいにコーナーをトレースしていく。

 山岳路の下りでは、回生の度合いを確かめた。アクセルペダルから足を離したコースティング時と制動時の2種類の方法で行う。いわゆる1ペダル操作が可能というほどは回生の度合いは強くない。より強い回生が必要であれば、ステアリングの左右に配されたパドルを使ってシフトダウンの要領で左のパドルをはたくと強く、逆に右のパドルでは弱く3段階で回生の度合いが調整可能だ。またブレーキシステムは、効率を高めるためドライバーかブレーキペダルを踏みこんでも0.3Gまではモーターのみで回生を行い、それを超えてから作動する仕組みだ。